1994年☆1300円
飯島陽子は中学2年生。サボりぐせがついた≠ニいう理由で始めた登校拒否も、1週間たって挫折しかけてきた。
母の友人さおりさんに説教をくらった帰り道、陽子はふとしたことからとっぴょうしもない遊びを思いつく。それは、屋根にのぼること。
その夜、一つちがいの弟リンといっしょに、2人は屋根にのぼった。
陽子とリン、2人だけのひそかな楽しみだった深夜の屋根のぼりに、やがて陽子のクラスメイト七瀬がくわわることになる。3人で初めてのぼった屋根。そこで出会ったのは...。
「ぼくたちはみんな宇宙のみなしごだから。ばらばらに生まれてばらばらに死んでいくみなしごだから。自分の力できらきら輝いてないと、宇宙の暗闇にのみこまれて消えちゃうんだよ、って」
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友だち関係、いじめ、不在がちな両親、無理解な教師...。現代的な重いテーマがからっと書かれています。ひとことで言えば、思春期の女の子が友だちとのかかわりをとおしてアイデンティティを確立していく話、でしょうか。
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森絵都(もり えと)の作品です。中学生の心によりそい、揺れる思い、不安定な気持ちをあざやかに描き出す作家です。デビューして11年。『リズム』『ゴールドフィッシュ』『Dive』など、YA(=ヤングアダルト)に人気の著書があります。小学生には『にんきもの』シリーズも人気です。
森作品はいまのところ『カラフル』が代表作≠ニ言えるでしょう。
死んだはずのぼく≠ェ、「抽選に当たりました!」といういいかげんな天使によって他人の体にホームステイすることになる...という話。帯にハートウォーミング・コメディ≠ニあります。
6年1組教室読み聞かせシリーズの第2弾を選ぶにあたり、その『カラフル』が第一候補でした。けれど、第1弾で読んだ『おれがあいつであいつがおれで』とモチーフが似ているので、こちらの『宇宙のみなしご』を読むことにしました。
1日5分ずつ。夏休みまでに読み終わるでしょうか。
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『宇宙のみなしご』
2001-06-09-Sat
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