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児童書新刊情報



『さらば、猫の手』(金治直美/岩崎書店)

2000年☆1200円


 小学校4年生のリュウは、いま大ピンチです。
 先生に命じられたバツ勉強が漢字600字、ためこんだ通信添削ジャンプアップのプリントが28枚、それなのに午後はスイミングの進級テスト(もう2回落ちている!)がありますし、明日のヤマカワ音楽教室の発表会だってまだ左手が弾けません。

 猫の手も借りたいほどに忙しいうえに、ああ、飲めずに隠しておいたビフィズス飲料ミルポン3パックもお母さんに見つかってしまいました。
 そして、なによりも、だれにもないしょで描いて投稿している4コママンガスクールの原稿しめきりも、あした! これだけはなんとしても投稿したいのです。

 そんなリュウが「猫の手」を手に入れました。

──この「猫の手」は、人間のかわりに仕事をしてくれます。でも、猫だから、力仕事や水や火をつかう仕事はできません。犬のさんぽもしません。あとはなんでもできます。

 リュウは説明書に書いてあったとおり猫の手をひざにのせ、つま先にむかってなでながら言いました。
「猫の手、猫の手、漢字六百個書いておくれ」
 すると猫の手はえんぴつにぴたっとくっつき、むずかしい漢字をすいすいと書きはじめたのです。


 ダメな男の子がいます(たいてい男の子です)。難題があってひとりではクリアできません。そこへおたすけマン(あるいはおたすけアイテム)が登場し、ダメ男くんはその力を借りて成功する──児童書に典型的なストーリーです。成長物語≠ニでも名づけましょうか。

 本書もそんな成長物語≠フひとつです。小学校4年生の男の子が困難を乗りこえ、「自分がほんとうにしたいこと」を見つけていく物語です。

 おたすけアイテムは「猫の手」。なんでもかなえてくれます。仕事をひとつするたびに毛が1本ずつ抜けていきますが、だいじょうぶ、こまかくびっしりと毛が生えています。まさにパーフェクトアイテムです。

 けれども、「猫の手」にもやがて終わりがやってきます。漢字1個書くたびに、音符1個弾くたびに、いじわるな子を1人ひっかくたびに毛が抜けていき、残りはとうとう4本だけ。ほんとうに必要なお願いしかできなくなってしまいました。


 スイミングもピアノも学習プリントもミルポンも、これまでリュウはすべてお母さんのすすめるままに「うん、いいよ」と受けいれてきました。いたずらっ子のコースケに学校でからかわれても、「やめろ」と言えませんでした。

──「いやだ」とか「やめろ」って、たった一言なのに、なんでこんなに重たいんだろう。
 ぼくは小さい声でつぶやいてみた。
「いやだ」
 そうだ、もういやだ。ヤマカワもジャンプアップも、スイミングもごめんだ。もう水族館のイルカになんか、なりたくない。
 こんどこそいおう、まず、おかあさんに。それから、コースケに。

 リュウは考えました。そして、すばらしいことを思いつきました。
「猫の手、猫の手、『やめる』っていわせておくれ」
 ところが、リュウの口から出たことばは...。


 4年生の教室読み聞かせシリーズ第3弾としてとりあげた本です。1日5分ずつ読んで16回。最終回がちょうど1学期の終業式になりました。

──その夜、ぼくは引きだしの奥にしまってあった猫の手をとりだした。さいごの1本の毛のつかい道は、もう決めてあった。
「猫の手の新しいのを、持ってきておくれ」
 そういうつもりだった。
 ぼくはひざの上にのせて、指先でなでながら、こういってしまったのだ。
「猫の手、猫の手──。○○○おくれ」

「みなさんなら最後の1本をどんなことに使いますか? やっぱり『猫の手の新しいの』かな。リュウは何と言ってしまったのでしょうね。この先を知りたかったら、ぜひ自分で読んでみてください」

 さあ、明日から夏休みです。
(こういう終わりかた、いやらしいかなぁ)


 作者の「金治直美(かなじなおみ)」を検索してみました。ヒットした作品は『さらば、猫の手』だけ。本書が単行本デビュー作で、出版されているのはいまのところこれだけのようです。

 書店の児童書コーナーでたまたま見かけた本でした。『ねこの手もかりんと ひとつ』を読み聞かせたばかりだったので、猫つながり≠ナタイトルが目に飛びこんできたのかもしれません。

 読み聞かせの本をさがすときには、どうしても名の知れた作家の本を手にしてしまいます。はずれ≠ェほとんどなく、安心してたのしめるからです。
 でも、これはあたり≠ナした。すてきな出会いをすることができました。

 デビュー以来2年。このままうもれてしまうにはもったいない新人(かなり薹がたっているけれど...)です。次回作が待たれます。

    ↓

  『さらば、猫の手』

2002-07-26-Fri



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