1992年☆951円
後藤竜二の“くろさわくん”と長谷川知子の絵は切っても切れない関係にあります。寺村輝夫の“王さま”と和歌山静子の絵も同様です。佐藤さとると村上勉の関係はひとり“コロボックル”にとどまりません。
子どもの本にとって挿絵はストーリーと同じくらい大切な要素です。ですから、本を読み聞かせるときに、作者だけでなく挿絵画家の名前もいっしょに黒板に書いて教えます。
すると、図書室で同じ画家の作品を見つけた子どもが、
「先生が読んでくれた本とおんなじ絵があったよ」
「ハセガワトモコの本だよ」
などと教えてくれるようになります。
また、
「岡本順が絵を描いた本はありませんか」
と、画家を名指しで本をさがしにくる子もいると図書室の方にうかがったこともあります。
さて、本書は長谷川知子の絵に惹かれて手にした本でした。
(もちろんストーリーもおすすめです!)
◇
夏休みの宿題のために図書室に行った3年生のわたるは、たまたま手にした本の中に「うんこ」という詩を見つけます。こんな本を借りたのはだれだろうと貸し出しカードを見てみると、お気に入りのかなえちゃんの名前が書いてありました。
………………………………………………………………………………
わたるは、あらためて、ポケットのカードをひっぱりだしました。
やっぱりあります。
──池上かなえ──
あと一人は、しらない人の名前です。
(かなえちゃん、『うんこ』読んだ)
わたるは、見てはいけないものを、見てしまったような気がしま
した。持っていてはいけないものを、持っているようで、どきど
きしてきました。
[中略]
「わたるくん、いい本がみつかった?」
かたを、とんとたたかれました。
わたるはとびあがりました。心ぞうがとびだしそうでした。
「どうしたの?」
かたをたたいたかなえも、おどろいています。
「べ、べつに……」
………………………………………………………………………………
夏休みあけ、かなえの姿が教室にありませんでした。しばらく学校に来られないというのです。
たのまれてプリントを届けにいったわたるは、かなえの家で...。
わたるとかなえちゃん、親友のあきらとまみちゃんの、ほんのり甘い初恋物語です。
1年生では少し早いかな。2、3年生あたりに最適でしょう。5分ずつ7回ほどで読める長さです。
読み聞かせ中に挿絵を見せることはまずありませんが、この本は別です。見開きカラーで描かれた絵のページ、とくに60〜61ページは、
「わたるの心ぞうは、大だいこの連続打ちみたいに、どどどどどどとなっています」
と言いながらページをめくり、本を高く掲げてゆっくりと見せてあげてください。
◇
ひとつ書き落とすところでした。
重要なモチーフとなっている『どきん』(谷川俊太郎/理論社)を図書室で見つけた子がいます。
「あったー」
と歓声をあげて「うんこ」の詩を開くと、まわりを友だちがどっと取り囲みました。
これも「うんこ」つながりの本でした。
↓
『ぼく、ロケットになりそうだ』
2006-10-09-Mon
|