2002年☆1300円
教職について約20年。これまでに300人ばかりの子を担任してきました。その経験の中で、しっかりものの姉とやんちゃな弟という組み合わせの姉弟がとても多く、強く印象に残っています。
あの学校で担任した女の子もそうでした。あの学年にいた女の子にもやんちゃ坊主の弟がいました。そういえば、あのときのきかん坊にはとてもしっかりしたお姉さんがいましたっけ。
それも、どうも2歳ちがいというのが最も多い組み合わせのようです。あれ、我が家もそうかもしれません。なぜかわかりませんが、不思議なものです。
この物語に出てくる姉弟も同じです。“わたし”は世界一のおねえちゃんなのに、弟ときたら甘い顔をしているとすぐに調子にのるし、にくたらしくていうことはきかないし、大切なライオンのぬいぐるみはこわしてしまうし、段ボールにつめこんでどこかへ送ってしまいたいくらいです。
という冒頭の数ページを読んだだけで、クラスのしっかりもののお姉さんたちが、
「うんうん、うちの弟もそう」
「ほんとに捨てちゃいたいくらい」
と共感してつぶやくのが聞こえてきます。
もちろん、いつもまとわりついてくる妹にうんざりしているお兄ちゃんも、うるさい兄や姉におさえつけられている妹や弟も、自分にひきつけて聞き始めます。
こうなればしめたもの。読み聞かせのペースはもうこっちのものです。
世界一のおねえちゃんである“わたし”は弟をきたえて“世界一の弟”にするために、センジンノタニに出かけることにしました。
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「ちょっと、だいちゃん、こっちにきなさい。
いまからおねえちゃんが、あんたをきたえてあげる」
「たこ、あげる」
「ちがうちがう。きたえて、あげる、の。
きっと、となりのけんちゃんより、強くなれるわよ」
「つおくなる?」
「そうよ」
「えいえい、おー! だね」
「そう、そう」
なんてたんじゅんなんだろう。
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けれど、おとうとだけをセンジンノタニに置いて帰ってくるつもりだったのに、二人いっしょに迷子になってしまいました。
さて、おねえちゃんとおとうとのユーモラスな、ちょっと変わった冒険は、このあとどうなるのでしょう。
2年生の2学期、最初の読み聞かせに選んだのは「いとうひろし」のこの本でした。いとうの物語はいつでもやさしく、おかしく、そしてあたたかです。
姉と弟、そのほかの登場人物のやりとりがテンポのよい漫才を彷彿とさせ、読み聞かせの醍醐味を味わうことができます。
ただ、事前に読んでセリフの主を本にメモ書きしておいたほうがよいかもしれません。弟のつもりでとぼけた調子で読んだのに、それが姉の言葉だったりすると、大いにあせります。ほんのわずかの手間をかけておくと、安心して読み聞かせることができますよ。
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『ふたりでまいご』
2006-03-05-Sun
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