とっぷぺーじ

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おふぃす ひげうさぎ




     


毎日5分ずつ、すきまの時間をつかって本を読み聞かせています。

じっと見つめる子どもたちの目と、物語に聞き入る教室の雰囲気が大好きです。



このページでは、一日入学の保護者懇談会でとりあげた本をご紹介します。

書店や図書館で見かけたら、手にとってみてください。






『ごきげんなすてご』(いとうひろし/徳間書店)

1995年☆1300円


 3か月前、「あたし」に弟(=だいちゃん)ができました。

 それ以来、おかあさんはいつもだいちゃんにかかりっきりで、「あたし」のことなどほったらかしです。

   ………………………………………………………………………………
   「おかあさんは もう あたしなんて いらなくなったのね」
   「はい はい」

   「あたし どこか とおくで すてごに なっちゃうから」
   「はい はい」

   「ねえ、 やめさせるなら いまのうちよ」
   「はい はい。 だいちゃんも おねえさんに さよなら、
    いいますか」

   「そんなこと いって、 あとで ないても しらないわよ」
   「あら あら、 だいちゃんが ないちゃったわ」

   「なにが だいちゃんよ。 うるさい おさるじゃない」
   「おー、 よし よし。 おさるじゃ ないわよね。
    かわいい だいちゃんよね」

   もう いやだ。 こんな おさるの おうちとは さよならだ。
   ………………………………………………………………………………


 というわけで、「あたし」は家を出て、すてごになることにしました。

 外に出て、「かわいい すてご」とていねいに書いた段ボール箱を前におき、「あたし」をひろってくれるすてきな人があらわれるのを待つことにします。

   ハンサムで あたまのいい おとうさん

   びじんで やさしい おかあさん

   なんにんもの めしつかい

   うんてんしゅの おくりむかえ

   おともだちと せいだいな パーティー

      ・
      ・
      ・

   そして ぜったい おさるの おとうとは いない

 空想はたのしげにどんどんひろがっていきますが、じっさいにひろってくれる人はなかなかあらわれません。

 そこへ迷子のいぬがやってきて、いっしょにすてごの仲間に入ります。つづいてのらねこ、さらにはかめまでも仲間入り。すてきなもらい手があらわれるのを4人(?)で待つことにしました。

 しばらくたつと、かめがもらわれていきました。
 やがてねこにも行き先が決まり、いぬももとの飼い主がむかえにきてくれました。でも、「あたし」のもらい手はあらわれません。

   ………………………………………………………………………………
   あたしは ぜったい あきらめないぞ。 すてきな うちに
   もらわれて いくんだ。

   おとうさんも おかあさんも あたしだけを
   かわいがってくれる うち。

   めしつかいも うんてんしゅも ともだちも
   あたし ひとりを ちやほや してくれて、
   おさるの おとうと なんて いない うち。

   そんな うちに……。
   ………………………………………………………………………………



 勤務校で「一日入学」がありました。
 2006年度に新1年生として入学する子どもたちに“おためし入学”を体験してもらう行事です。

 子どもたちが職員と学校体験のプログラムをおこなっている30分ほどのあいだ、保護者のみなさんは別室にうつり、校長・教頭をかこんで懇談会をすることになっています。

 「この前の入学説明会はぼくが話したから、こんどは教頭さん、なんか話してみない?」

 校長先生にそう言われ、懇談会の司会進行と話題提供を担当することになりました。さて、どうしましょう。

 「子育てにたいせつな“かきくけこ”」

 これは前回の説明会で校長先生が熱弁をふるわれたお話のテーマです。同じ内容では味気ありませんし、役者の格がちがいすぎます。

 いまのぼくにできること...読み聞かせ、読み聞かせはどうでしょう。

 そこで思いついたのが『ごきげんなすてご』でした。

 全編とおして読むと25分ほど。とちゅうをすこし省略すれば、あいさつや質疑など、前後のプログラムとあわせても30分におさまります。
 決めました。


 さて、当日です。会場には新1年生の保護者が勢ぞろいしています。

 お母さまだけ、というのが大多数ですが、夫婦でお越しの方、お父さまだけでご出席の方もいらっしゃるようです。

 新1年生の保護者のみなさんが一堂に会するのはこれがまだ2回目。雰囲気をやわらげるためにちょっとしたアイスブレイキングの活動をしたあと、
 「今日は本を読みます。しばらく聞いてくださいね」
 と前置きし、『ごきげんなすてご』をひろげました。

 とちゅう、ねことかめのエピソードをはぶいて読みすすめ、いぬが飼い主のもとに帰っていくところまできました。そしていよいよ物語のクライマックスです。

 さびしくなって下をむいている「あたし」のところに、だいちゃんをつれたおとうさんとおかあさんがやってきました。

   ………………………………………………………………………………
   「おや、 こんなところに すてごが いるよ」
   「まあ、 ほんと。 このこなら、 だいちゃんの
    おねえさんに ぴったりね」
   「うん、 こんなに いいこは いないね」

   「でも、 どうかな。 ほんにんの きもちを
    きいて みなければ きめられないよ」
   「ええ、 さっそく きいて みましょうよ」

   「おじょうさん、 おじょうさん...」
   ………………………………………………………………………………


 ここで読み聞かせをやめ、概略つぎのように話しました。

 「さて、おとうさんとおかあさんは、どんなことばをかけたでしょう。
  『バカなことやめて、さっさと帰ってらっしゃい』
  ではもちろんありませんね。

  この子が『すてご』をやめて家にもどりたくなることば、みなさんな
  らどんなことばをかけますか。

  いまはつぎのページを読むのをやめておきます。4月までのみなさん
  への“宿題”としましょう。

  もちろんこの本に書かれていることばだけが“正解”ではありません。
  子どもによって、家庭の状況によって、語りかけることばはさまざま
  考えられると思います。

  お子さんとのじょうずなつきあい方、ぜひ考えてみてください」


 こどもの本をこんなふうに使うのは“禁じ手”でしょうか。
 でも、すこしばかりインパクトのある保護者懇談会だったことはたしかなようです。

 (懇談会がおわったあと、「なんて声かけたの?」と言いながら、校長先生がページを繰っていましたっけ)


 ところで、この本を生意気ざかりの豚児(5年生)に読んでもらい、
 「きみだったら、どんなことばをかけてもらったらすなおに家に帰る?」
 とたずねてみました。

 即座にもどってきたこたえが、

 「お金あげる!」

 子育てって、一筋縄ではいかないものです。


 もうひとつ、楽屋話を披露してしまいましょう。

 ぼくと息子のやりとりを聞いていた妻にもこの本を読んでもらい、同じことをたずねました。

 しばらく考えた彼女の答えは、この本に登場する「あたし」の両親がかけたことばとほとんど同じ!

 わが家の主権がどこにあるかを如実に物語るエピソードでした。

    ↓

  『ごきげんなすてご』

2006-03-09-Thu



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