とっぷぺーじ

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苦手

 中学1年生のちょうど今ごろだった。生徒会の次年度役員候補を各クラスから1人ずつ選出する。役職は副会長。5クラスから選ばれた5人の候補が立会演説会にのぞみ、全校生徒の投票により決定するというシステムだった。

 わが1年3組も、ご多分にもれずみずから立候補する者はいなかった。当然のなりゆきで推薦ということになる。名前のあがったのが“ひげ”だった。いやでいやでたまらなかったが、「いやです」とは言えないままだった。

 立会演説会が近づいてくる。生徒会の役員をやるのもいやだが、それ以上に人前で「演説する」というのがどうしても我慢できなかった。さてどうしたものか。

「オレは好きで立候補したのではない。たまたまクラスで目立つことがあって推薦されたけれど、やりたいなんて思ったことはないし、やりますと明言した覚えもない。やめてくれ...」

 つぶやきは心の中で堂々めぐりするばかり。「立候補を辞退します」などと言えるはずもなく、とうとう前日になってしまった。

 あした、どうしよう。広い講堂のステージに一人だけ立って立候補演説をする。いったい何を話せばいいのだ。考えただけでふるえてくる。

 当日、“ひげ”は学校を休んだ。仮病。ずる休み。

 “ひげおやじ”も事情は知っていた。
「休むならそれでもいい。ただし、自分で担任の先生に電話しなさい」

 学校に電話した。「具合が悪くて休みます」と、鼻声をつくって先生に話した。役員選挙のことをたずねたような気もするが、舞いあがっていたのだろう、まったく記憶に残っていない。

 別のクラスの候補者が当選したのを知ったのは当日だったか翌日だったか。ほっと胸をなでおろしたことをはっきりと覚えている。


 人前に出るのが苦手だ。今でも変わらない。

 話をするのはもちろん、大勢の前に立つだけだって、できれば避けたい。
 「先生やってるくせに」と言われても、いやなものはいやだ。ほんとうは、静かなところで一人でできる仕事をしていたい。

web『たまてばこ』 No.119 2001-02-07-Wed