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web『たまてばこ』特集

修学旅行で学級句会

日光修学旅行を題材にした句会で傑作が続出



     





学級句会〜1

 日光修学旅行のまとめに、子どもたちがつくった俳句で“学級句会”を開いた。

 投句されたのは78句。一覧できるように印刷し、一人5句選ばせた。もちろん「選は自作以外から」という句会のルールにのっとっている。

 家庭にもよびかけ、ベスト5を投票していただいた。父母兄姉それぞれが5句ずつ選んでくださったり、祖父母が投票してくださったり、選んだ5句にていねいなコメントをつけてくださったり...ぜんぶで28人分の選をいただくことができた。

 句会に参加した子どもが30人。家庭からの28人と担任(=“ひげ”)票、担任家族(=“ひめ”)票、校長票があって、投票総数61人となった。したがって、満点は60点。

 通常の句会をシンプルにした形で、選の発表、講評、作者の発表とすすめていった。

 得票上位の句からいくつかご紹介しよう。


  五月雨や東照宮はおもちゃ箱

  雷にせなかを押され早歩き

  ズドドドド滝がよだれをながしけり

  新緑はよいをおさえる薬かな

  夏の空すましたモデルお猿さん

  暑き中きのうのつかれ風呂でとる



 掲載した6句は9点句と8点句。得点にして4位、5位の句、いわゆる“入選”である。参加者の1割以上が選んだことになる。

 最初の2つは東照宮見学を詠んだもの。
 1句目。陽明門の彫刻、数々の灯篭、眠り猫など、東照宮の文化財すべてをまとめて「おもちゃ箱」と表現したところが秀逸。子どもにしか見つけられないコトバだろう。家康さんもびっくり!

 2句目。グループでの見学中に夕立にあってしまった。雷鳴に首をすくめ早足になるようすを「せなかを押され」とすなおにたとえた佳句。ゴロゴロ、キャーこわい!

 3句目は評価のわかれた句。「ズドドドド」というオノマトペ(擬音語)はよし。問題は「よだれ」というひとこと。このたとえをうまいという子、滝にはふさわしくないという子が半々になった。

 4句目と5句目はともにいろは坂のこと。
 車窓から見えるあざやかな新緑にみとれているうちにバス酔いもどこかへいってしまった。それを「薬」と言い切ったところが眼目。秀句である。

 話題の日光野生猿軍団をいろは坂走行中に見つけた。観光客からかすめとったおみやげを食べている。大あわてでカメラにおさめようとする子どもたち。猿はしらんぷりしてラッキョウ(!)をほおばっている。たった十七文字にこれだけのことをつめこむとは。

 最後は帰宅後の充実した心地よい疲れを表現した句。ふー、疲れたー。でも楽しかったなー、また行きたいなー。

web『たまてばこ』 No.215 2001-06-06-Wed


学級句会〜2

 日光修学旅行を詠んだ学級句会で10点以上の高得点を獲得した6句は下記のとおり。


  夏の夜かべに耳あて話聞く

  おやすみと何回言ったか夏の夜

  くっつけば汗が出る出る消灯後

  おこされてここはどこだと夏の朝

  湯の滝にさわってみれば指ひやり

  先生の雷落ちたバスの中



 この6句のうち3句が10点を獲得し、同着で第3位。4位(9点)、5位(8点)とは紙一重の差だった。

 ついで第2位が2句あって、ともに14点。3位とはある程度の差がついての入選である。

 そして堂々第1位の1句。驚くべし、なんと大量31点もの票を集めたオバケ俳句がある。子どもからも大人からもまんべんなく選が入り、投票者の過半数がこれを選句したことになる。まさにダントツぶっちぎりの特選トップ賞である。

 読者のみなさん、どれがトップ賞の1句だと思いますか。答えは書かずにおきましょう。


 恒例の、と言っても2回目だが、担任(=“ひげ”)による講評。

 前半3句はホテルの部屋でのできごとをとりあげた句。同じ場面を吟じた句が上位6句の半数をしめているのだから、修学旅行の“夜”はだれにとっても印象深いのだろう。

 1句目。となりの部屋のようすが気になってしかたがない。もう寝たかな。しー、声が聞こえるぞ。なんの話をしているのだろう。聞いてみよう。あれ、ケンカしてるみたい...。できごとをストレートに表現したところが多くの共感をえた。

 あしたは“いろは坂”だから、もう寝よう。うん、そうしよう。おやすみ。
 (-_-)zzz°°°(^_^)(^_^)(^_^)(^_^)( ^ _ ^ )(^○^) ハハハハ
 やっぱり寝よう。うん、おやすみ...。
 こんなことをくりかえしながら、いつのまにか夜が更けていく。だれにでもある経験をさりげなく切りとった2句目。作者のたしかな“目”を感じる。中七の字余りはまったく気にならない。

 3句目。中七の「出る出る」が一句のポイント。読みあげたときのリズムが心地よい。学習した「柿食へば〜」の本歌取りかと作者にたずねたら、「ノー」という答えだった。無意識のうちに芭蕉になっていたのかもしれない。

 夜、ぐあいの悪くなった子がいた。みんなとは別室で休ませ、朝までグッスリ眠ることができた。朝、保健の先生に「おはよう、○○ちゃん」と起こされたが、まだ寝ぼけている。まわりを見まわすきょとんとした表情が目にうかぶような4句目である。

「“湯滝”というくらいだから、お湯が流れているんですよ」
 バスガイドさんの話の定番。ハイキングの終点、湯滝に着いた子どもたちはさっそく流れている“湯”に手をひたしてみる。
「なんだ、冷たいじゃん」
 5句目は下五の「指ひやり」にとどめをさす。

 その湯滝で、靴をぬらしながら滝壷まで行ってしまった子、集合時刻に遅れて迷惑をかけた子...戻ったバスで待っていたのは鳴き龍ならぬ担任の雷だった。
 6句目を書いたのはその当事者ではなく、とばっちりで雷を聞いてしまったほかの子。叱られた当事者には俳句をつくる余裕などなかったのだろう。

(ちなみに、「汗」「滝」「雷」が夏の季語)

web『たまてばこ』 No.216 2001-06-08-Fri


学級句会〜3

 エントリー78句中、8点以上の入選句は12。この中に担任(=“ひげ”)選の5句がすべて入っているわけではなかった。

 衆目の一致するところの“名句”のほかに、「だれがなんと言おうと自分はこれがいい」という句があっていい。それが俳句のおもしろさであり、句会の醍醐味である。

(担任選5句のうち、入選句と一致したのは3句だけ。もしかすると“ひげ”がたんにズレているだけかもしれない。なんてったって“ひねうさぎ”というくらいだから)

 下記が入選しなかった担任選の2句。


  鶯の鳴き声まねてさあ出発

  ハイキング戦場ヶ原夏の空



 戦場ヶ原を小一時間あるく。汗も出てきた。木陰でひとやすみしよう。静寂の中に鳥のさえずりが響く。ひときわ大きな鳴き声。ウグイスだ。ほんとに「ホーホケキョ」って聞こえる。ホーホケキョ! さあ、行こうか。
 十七文字の中に景色も音も肌の感触も書き込まれている。佳句。

 2句目。78句中ただこれだけという特徴をもった1句。用言を1語も使っていない。ことばの正しい意味でユニークな句である。
 おそらく作者は意識してそうしたのではないだろう(効果をねらって作ったのだとしたら、末おそろしい)。 課題の5句をなんとかそろえようと苦労した結果の“五七五名詞(句)3語ならべ作戦”にちがいない。それが絶妙な味をかもしだしている。

 以下は選外秀句。


  仁王像虹出てもまだおこってる

  鳴き龍や家康守る走り梅雨

  眠り猫雷鳴っても眠ってた

  親子杉三人ならび夏すごす

  暑い夜みんな足出しねむってる

  滝のたびみんなで写真はいポーズ

  いろは坂主役とられて桜ちる



 句会の報告は以上で終了。以下はおまけ。

 全国レベルでの力だめしにと、30句ほどを「インターネット・ハイク・ワンダーランド」に応募した。もちろん本人の了解済み。
 予選を通過する句が出るかどうか。結果は1か月後。

*「インターネット・ハイク・ワンダーランド」は 「蝸牛新社」 のHPから。

web『たまてばこ』 No.217 2001-06-10-Sun


予選

 全国レベルでの力だめしにと、30句ほどを「インターネット・ハイク・ワンダーランド」に応募した。もちろん本人の了解済み。
 予選を通過する句が出るかどうか。結果は1か月後。

 ...と思っていたら、6月10日付で配信されたメールマガジンに結果が載っていた。

 ずーっと読んでいくと、予選を通過した句が7句もある!


  五月雨や東照宮はおもちゃ箱

  仁王像虹出てもまだおこってる

  眠り猫雷鳴っても眠ってた

  くっつけば汗が出る出る消灯後

  おこされてここはどこだと夏の朝

  湯の滝にさわってみれば指ひやり

  夏の空すましたモデルお猿さん



 学級句会の結果と微妙に違っているのがおもしろい。過半数の票を集めたオバケ俳句が選にもれているところなど、とくに興味深い。

 選者の あらきみほ さんはこんなコメントを書いてくださった。

 T小学校の六年の皆さんは、修学旅行で日光へ行ったときのことを題材に俳句をつくって「学級句会」をしたそうです。

 修学旅行の出来事を俳句にしたことで思い出は確かなものとなり、学級句会をしたことで、もう一度思い出すことができましたね。
 また、先生だけが選んだ俳句というだけではなくて、みんなが参加して選んだ俳句であることがステキです。

 俳句は、作るだけでなくて、好きな句を選んだり、いいと思う句を選ぶことも大切なことですから。

 先生や俳句を作っているご家族の、熱心で、ほんの少しだけ子どもの背を押す後押しの力が、きっと子どもが俳句を作るきっかけとなっているのだと思いました。


 6年1組がとくに俳句に力を入れているというわけではない。国語の学習の発展として修学旅行で俳句をつくり、せっかくなので句会という形式で鑑賞の学習もしてみた。で、せっかくのついでに、インターネット上のコンクールに応募したら、瓢箪から駒が出てきた、というわけである。

 それでも、プロの目にとまっての予選通過だから、自信を持っていいだろう。クラスにとって、また一つ大きな歴史が刻まれた。

 本選の結果は2002年の5月5日発表という。最優秀賞1句、優秀賞5句、佳作20句。そこまで期待するのはちと虫がよすぎるかな...。


追記

 2002年5月11日、メールマガジン「ハイク・ワンダーランド012号」が配信された。第1回「インターネット・ハイク・ワンダーランド」の発表である。

 選をずらーっと見ていくと...あった!
 最優秀賞は惜しくものがしたが、優秀賞6句の中に1句、わが6年1組の投句が選ばれていた。

 以下、あらきみほ さんの選評。

 ●ハイクワンダーランド優秀賞

  鑑賞6 仁王像虹出てもまだおこってる   小6

 この俳句はとてもおもしろいです。仁王像は寺院の門の両側にあ
 って、一体は口をひらき、一体は口をとじて、恐ろしい怒ったよ
 うな顔をしてまもっています。

 ××さんは仁王像をみて、「おこっている」と思いました。
 そのとき空にはきれいな虹がかかってていたのですね。××さ
 んは虹をみるとイヤな気持もなくなってしまうくらいうれしくな
 るのです。そんなウキウキした心持ちで振り返って仁王像をみる
 とやはり「おこってる」顔だったのでした。

 仁王像は彫刻だから表情が変わるわけはありません。
 だから「まだおこってる」がおもしろいのです。


 ××さんにすぐに連絡し、朗報を伝えた。
 とどけられた賞状と副賞を手渡し、お祝いをする。

 このできごとが、卒業式を終え、6年1組が解散してからだったことが唯一の心残りである。

web『たまてばこ』 No.218 2001-06-11-Mon