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web『たまてばこ』特集

オアフの風2001

初めての“海外個人旅行”に挑戦したひげファミリーの記録




     





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モバイル大作戦

オアフの風2001〜0

 どうせ行くならワイキキのど真ん中からインターネットしてみたい。モバイル用のノートPCもあることだし。
 ネックはプロバイダ。現在利用しているCATVネットでは、ワイキキのホテルの部屋からアクセスすることが、あたりまえといえばあたりまえだが不可能だ。

 そこで裏ワザ登場(いや、いまや表ワザかもしれない)。
 PCのモデム端子とモジュラージャックをケーブルでつなぎ、ある大手プロバイダの無料体験に申し込む。最寄のF市にアクセスポイントを設定し、サインイン。接続完了。これで1か月または100時間、無料でインターネットに接続できる。電話料金がかかるのは承知のうえ。

 次に、接続の設定を変更する。選択する国名は米国、エリアコードは808。ホノルル市のアクセスポイントを追加し、設定終了。
 つまり、ホテルの部屋からホノルルの市内電話をかけ、プロバイダ無料の安上がりインターネットを利用してしまおうという作戦である。

 ホテルの部屋には直通電話のモジュラージャックがあり、モデム内蔵のPCがあればインターネットに接続することができる。これはさっき電話して確認してある。作戦は有望だ。
(この電話、東京の予約事務所にかけました。“ひげ”は英語はできません)

 では、テスト。日本から国際電話をかけ、ホノルルのアクセスポイントからインターネットに接続できるかたしかめてみる。
 サインイン。ピコピコピコ....。

「おかけになった電話番号は、ただいま使われておりません」

 あれ (?_?)
 国際電話がかからない。やっていることは間違っていないはずなのに、うまくいかない。ヘンだなぁ。何がいけないのだろう。

 このままPCを持っていって、ホテルから電話してインターネットにつながるだろうか。あちらに行けば市内通話だから、うまくいくはずなのだが...。不安がよぎる。前途に暗雲がたちこめる。

 でも、ま、いっか。やるだけやってみよう。ダメなら近くにあるネットカフェを利用するという手もある。旅行記がわりの記録をPCに残しておくこともできる。


 ご来場のみなさん、いつもご愛読ありがとうございます。しばらく更新できないかもしれません。上のような事情です。ご了承ください。
 接続成功のあかつきには、オアフのさわやかな風をネットに乗せておとどけします。お楽しみに。

web『たまてばこ』 No.154 2001-03-22-Thu


続 モバイル大作戦

オアフの風2001〜1

「おかけになった電話番号は、ただいま使われておりません」

 “ただいま使われていない”原因は至極かんたんなことだった。


 最初に設定したホノルル市のアクセスポイントは「5××−××××」。 これにはホノルル市の市外局番がついていない。つまりホノルル市内からホノルル市内へ電話をかけるときの電話番号である。

 “ひげ”は考えた。ここはK市だから、ホノルル市へ電話をするにはホノルル市の市外局番「808」が必要ではないか。
 接続設定の変更をする。
「808−5××−××××」
 これならば、つなが...らなかった。昨夜の作戦はここで頓挫した。

 そこで“ひげ”は考えた。K市は日本、ホノルル市はアメリカ。日本からアメリカにかけるには国際電話の局番が必要ではないか。
 なぜか西田敏行の顔が浮かんだ。タキシードを着て踊っている。
001番、KDD〜」

 接続設定を再変更する。
「001−808−5××−××××」
 これならば、つなが...らなかった。おかしい。今日の作戦はここで行きづまる、はずだった。
 ところが...。

 手元にあった“ひめ”御用達の“ハワイ本”を開いてみた。アラモアナSC内のあるショップの電話番号が書いてある。
「001−1−808−×××−××××」
 なんなんだ、この「1」は! いつからこうなったの、西田さん。世情にうとい“ひげ”の内実を露呈してしまった。

 接続設定を再々変更する。
「001−1−808−5××−××××」
 これならば、つなが...った! ヤッター! \(^o^)/
 無料体験のプロバイダHPはもちろん、「おふぃす ひげうさぎ」のHPも、ふだん使っているOEのメールも、すべてOKだ。これでホテルの部屋からインターネットにつながる、はずだ。


 それにしても不思議な気分。ここK市からホノルルに国際電話をかけ、プロバイダに接続。wwwをかけめぐったデータが(おそらく日本のサーバからデータを読み出して)ふたたびホノルルから国際電話の回線を伝ってK市にもどってくる。タイムラグほとんどなし。
 インターネットの世界を実感してしまった。

web『たまてばこ』 No.155 2001-03-23-Fri


序章

オアフの風2001〜2

 3月24日羽田発ホノルル行きCI−018便19時20分出発予定。“ひげ”一家が搭乗する飛行機である。

 飛行時間およそ6時間30分。日付変更線を前日にむかって越えるので、機内で一眠りすると、3月24日の早朝にホノルル国際空港に到着することになる。

 今回はパックツアーではない。流行りの“個人旅行”だ。インターネットを利用して、年明けから航空券、ホテル、レンタカーを手配してきた。
(羽田発着の格安航空券、1人61000円。ご参考まで)

 “個人旅行”などとエラそうなことを書いているが、じつは、自信はない。
 ツアーならば日本語が堪能なガイドさんにおまかせしてついていけばいいところ、ホテルのチェックインからして自分でやらなければならない。フロントとのやりとりも英語...お手あげだーヽ('ー`)/
(1BRキチネットスイート、正規料金の50%オフで1泊95ドル+税。ご参考まで)

 レンタカーも不安だ。左ハンドル右側通行の車なんてまったくの初体験。速度表示はマイルだし、標識も当然英語、ガソリンもセルフサービス...日本での運転歴20年がどれほど通用するか。
(ミディアムクラスのレンタカー料金7日間で25900円+税。ご参考まで)

 4人そろって無事に戻ってこられますように。


 “ひげ”5回目、“ひめ”7回目、KANA3回目、TAKU2回目の春休みハワイの旅がいまスタートする。

 行ってきまーす! ALOHA (^m^)/~~~~


 時差19時間。日本時間から19時間マイナスするとハワイ時間になる。日本時間に5時間プラスした一日前と考えるとかんたんだ。

 ホテルからのインターネット接続に成功すれば、ハワイ時間24日の夜、日本時間にすると25日の夕方、第一報を『web たまてばこ』にお届けできる予定。通常のメールも利用できる、はず。「オアフの風」に写真UPの計画もある。
 乞うご期待。

web『たまてばこ』 No.156 2001-03-24-Sat


第1章

オアフの風2001〜3

 3月24日午前7時すぎ、ホノルル国際空港到着。すでに入国審査には行列ができている。
「このあたりの方で、30分から40分くらいかかります」
 係の方が日本語で説明している。ハワイにディズニーランド状態出現。
 昨年はあっというまに通過したところだ。羽田出発が30ほど遅れたせいだろう。6時台にホノルルに着いていれば、一番乗りでかんたんに通過できたはず。

 それでも、行列の人数のわりには進みが早い。審査が世帯単位で、家族連れが多いせいかもしれない。20分ほどで順番がまわってきた。

「おはようございます。4人家族です」
 単語を並べただけの英語であいさつする。審査官は女性。愛想がいいとはいえない。
「何日滞在するのか」
「えーと、8日、いえ、6泊7日です」
「ペラペラペラ」
「...」
(・_・?)
「ハワイは何回目か」
 なんとか聞きとれた。
「彼女が7回目、ぼくが5回目、子どもたちは3回目と2回目です」
 前号の『web たまてばこ』に書いたことが役に立った!

 入国審査、無事終了。トランクを受け取り、税関を通ってまっすぐ外へ。この“まっすぐ”に今回のハワイの意味がある。

 税関を通ったハワイ入国者は、大部分が左へすすむ。こちらは団体の出口になっている。パックツアーの人たちは日本の旅行社ごとにグループにまとめられ、現地のツアー会社が出迎える。この時間から15時のチェックインまで半日、市中引き回しの刑に処せられる。
(この半日観光、パンチボウル、アロハタワー、カメハメハ大王像、ヌアヌパリ、DFSなど、名所の多くを網羅していて、それはそれで意味がある。しかし、行くたびにこれにつきあわされるのも...。リピーターが脱パックツアーをする大きな理由がここにある)

 さて、左が団体用にたいして、まっすぐ≠フ出口は個人旅行者用になっている。正月をハワイですごす芸能人が空港から出てきたとたんレポーターに囲まれる場所である。
「わー、なんか芸能人みたい!」

 芸能人気取りの“ひげ一家”、レンタカー事務所で手続きにはいる。日本で予約してあったのでスムースだ。
 車のキーを渡され、2ブロック先のC−37の車に乗れと言われた。書類(すべて英語だ!)をのぞくと色は“Red”と書いてある。ミッドサイズを希望したのだが、じつは“ミッド”がどの程度の大きさかは予想もつかない。どんな車だろう。
 言われた場所に行ってみると、赤い車がある。フォードの車で“escape”というエンブレムがついている。日本車の基準でいうと、大型のRVといったところ。もちろん左ハンドル。驚いたことにピッカピカの新車だ。走行距離がまだ200キロ(マイルかな?)しかない。
 こんな車をハワイ運転超初心者に貸してしまっていいのか、ハーツ! 太っ腹だなぁ。

 車に乗りこむ。すわり心地がまるで違う。左の運転席から見える景色も緊張をさそう。
 操作法をたしかめる。パワーウィンドウの4つのレバーの下に見慣れぬマークのレバーが2つついている。なんだろう。使い方がわからない。
 ギアはタクシー式でハンドルの奥、右側についている。同じようにハンドルの向こう側にある2本のレバーのうち、左がウィンカーで右がワイパー。ややこしい。
 オーディオ関係が充実していて、CDプレーヤーつきだ。FM局にセットする。

 エンジンをかける。V6というだけあって、吹きあがりがいい。これからH1(ハイウェイ)に乗ってワイキキのホテルへ行く...逃げ出したくなる。車名のとおりだ。
 何度も地図を見てたしかめる。ナビ役の“ひめ”も固い。
 踏ん切りをつけ、ギアをドライブに入れる。サイドブレーキをはずす。発進。


 こんな感じで書いていくと、いつまでたっても帰国できそうにない。このあとは割愛。

 この時間にこの記事がネットにのせられるということは、とりあえず初日、無事だったということだけはたしか。ドキドキドライブのすえホテルにチェックイン。そして外出。無謀にもカハラモール、アラモアナSCへドライブ。ざっと買い物を済ませ、ワイキキに戻ってフードパントリーで日常品を調達。キチネットでつくったかんたんな夕食をとり、シャワー...。

 あれ、ここまで書いているうちにPCの前でうとうとしてしまった。“ひげ”以外の3人はすでにベッドの中ですやすや。やられた。

web『たまてばこ』 No.157 2001-03-24-Sat


第2章

オアフの風2001〜4

「予約をしている“ひげ”です」
「早く着いたので、荷物を預かっていただけませんか」
「何時ごろチェックインできますか」


 ホテルにチェックインできるのは15時がふつう。早朝にホノルルに着くと、それまで時間をつぶさなくてはならない。パックツアーで市中引き回しの刑≠ノ処せられる理由も主にそこにある。
 “刑”のない個人旅行の場合は、自分でなんとかすることになる。せっかく借りたレンタカー、チェックインまであちこち出かけることに...しかし、「スーツケースなど荷物、貴重品を積んだまま車を離れてはいけない」とガイドブックに書いてある。
 そこで、上の三つの会話(もちろん英語)を頭にたたきこんだうえで、フロントにむかった。9時すこし前だった。
(アーリーチェックインのサービスをするホテルも増えている。が、今回の“ひげ一家”の予約には適用外。前日から1泊よぶんに予約しておくという手は...もったいない)

「おはようございます。予約をしている“ひげ”です」
「おはようございます。しばらくお待ちください...クレジットカードをお願いします...この書類にご記入を」


 書類は宿泊カードで、日本語の訳つき。記入も日本語でOK。「楷書で」とまで書いてある。

「7日間ですね。ルームナンバーは7××です」
「7××。7階ですか?」
「そうです。そちらのエレベーターからどうぞ。これが鍵、カードキーが2枚あります」
「ありがとう。何時に部屋に入れますか?」
「もう入れますよ。どうぞ」
「それはありがたい。どうもありがとう」


 拍子抜けするほどかんたんに“アーリーチェックイン”できてしまった。ラッキー!
 到着初日から大きなショッピングモールを2つもまわり、日常品の買出しまでできてしまったのにはこんな事情があったのである。


 部屋は1BRキチネットスイート。ドアを入ってすぐのところに8畳ほどのリビングがあり、大きなソファベッドが2つ置いてある。ほかにチェストとベンチが1つずつ、丸テーブルが1つに椅子が2つ。食事はここでとることになる。
 テレビもあって、KANA&TAKUが“マリオ”にはまったのはこの部屋。電話線をぬいてPCに接続してしまったのもここである。

 リビングから細い廊下(のような空間)を5歩ほど歩くとベッドルームにつく。ダブルベッドが1つに小さめのチェスト、その横にセイフティボックス。電話はこの部屋にもついている。
 リビングとベッドルームは(当然だが)エアコンつき。“SANYO”のロゴがなつかしい。

 ベッドルームのすぐ外がラナイになっていて、白いデッキチェアが2つ、丸テーブルが1つ、それにエアコンの室外機がドーンと鎮座している。
 東に向いているのでダイヤモンドヘッドが見えるはず...あった。林立する大きな建物のあいだから、ほんの少し、申しわけなさそうに姿を見せている。どこかに見えるはずと思ってさがさなければ見逃してしまうだろう。
 海はまったく見えない。かと言って山側もだめ。景色は...お世辞にも“いい”とは言えない。“ホテルライフを満喫”しにきたわけではないので、これはあきらめるしかない。

 5歩の“廊下”にキチネットがついている。いや、本来はリビング、キチネット、ベッドルームの3部屋がドアで仕切られず一続きになっていて、リビングとベッドルームにはさまれてキチネットの部分が狭いので“廊下”に見えるのだろう。
 流し、冷蔵庫、電子レンジ、トースター。コンドミニアムのキッチンほどの設備はない。安い肉を買ってきてステーキをという食事は残念ながら今年はできない。電熱器もないので、お湯はレンジで沸かす。これはかなり不便。
 キチネット=ミニキッチンとはうまく言ったものだ。

 キチネットにくらべ、バスルームは大きい。洗面とトイレで3畳ほどだろうか。バスタブつきのシャワーもある。日本のビジネスホテルのユニットバスがいかに貧弱かよくわかる。

 防音、遮音はよくない。外の話し声、となりの部屋の子どもの泣き声やシャワーやトイレの音など、とてもよく聞こえる。ということは、こちらの音も聞こえているはず。しかたがないか。

 これで1泊95ドル、正規料金の半額。文句は言えないな。

*ここまで第1章の内容



 2日目(25日)の朝は洗濯からスタート。25セント硬貨をかき集め、セルフサービスのコインランドリーへむかう。
 ホテルの5階、駐車場の一角にランドリーコーナーがあった。

 過去のハワイでは、コインランドリーは“ひめ”が担当していた。“ひげ”は今回が初体験。
 コーナーには洗濯機が6つ並んでいて、運良く1つだけ空いていた。説明を見て(“読んで”ではない)、コインを3枚セット。所要時間30分の洗濯が始まった。

 洗いあがったころに行ってみる。しあがっている。日本語の通じる洗濯機でよかった(関係ないか)。が、乾燥はどうしたらいいのだろう。はやりの乾燥機つき洗濯機なんてここにはまだない。
 6台の洗濯機をよく見ると、奥の3台は乾燥機ではないか。蓋が上ではなく横についている。なんだ、はやく言ってくれ。日本語の通じないヤツだ(これまた関係ないか)。

 あいている1台に湿った洗濯物をうつし、コインをセット。こんどは2枚で50セント。スタート。45分間待つのだぞ。

 部屋に戻って「あと45分」と言うと、「それならば」と3人組は出かけて行った。海側へ少し歩いたところにある Louis Vuitton がお目当ての場所。きのうアラモアナSCで見かけたバッグが“ひめ”を呼んでいる。「新作で日本未入荷」の呪文が効いている。

 できあがったころに取りに行った...乾いていない。中にあるのは入れたときのままの湿った洗濯物。よくよく説明書きを見る(くどいが“読む”ではない)と、ボタンを1つ押し忘れていたようだ。
 この45分間、乾燥機は湿った洗濯物をおなかの中にかかえこんだまま、ひたすら時間がたつのを待っていたというわけか。なんてこった。
 しかたがない。ふたたびコインを入れ、ボタンを押してスタート。たしかに動き出したのをたしかめ、部屋に戻った。

 45分後、こんどこそふっくらと乾いた洗濯物のできあがり。
 なにごとも経験あるのみ。


 かれこれあったので、活動のスタートは14時半ごろ。日本時間では9時半。からだがまだ日本時間なのかもしれない。

 昨日のシャワーとはうって変わっての好天。雲は出ているものの、日差しは強い。ハワイにやってきたという実感のする天気だ。
 夕方のほうがいいだろうと、この時間からダイヤモンドヘッド登山に挑戦する。

 13年前、新婚旅行で来たときに登って以来である。子どもたちはもちろん初めて。急な階段を登る、真っ暗なトンネルを通る、とっても疲れる、落ちたら死ぬなど、さんざんおどかしておいた。

 登山口からおよそ30分。頂上付近の階段は67段、99段、そして50段。TAKUが数えてくれた。苦労してたどりついた山頂からの眺望は絶景。西にワイキキビーチ、南はどこまでも広がる太平洋。東は遠くにココヘッドを望み、北側には高級住宅地カハラが見下ろせる。文字どおり360度のパノラマが楽しめる。
 見ず知らずの登山者どうし、場所とカメラを交替しては記念写真を撮りあう。“ひげ一家”もしかり。絵はがき用写真のできあがり。

 ダイヤモンドヘッドについて薀蓄を2つ。“クレーター”というとおり、ここは火山の噴火口になっている。山頂から見るとそれがよくわかる。登山口が火口の真ん中あたりで、そこを囲む形で山がひとまわりしている。箱根外輪山と同様の形だ。
 “頂上”といわれるのは、“外輪山”のうち海側に最も突出した部分。標高も最も高くなっている。

 その頂上付近から一帯が、当時は太平洋をにらんでオアフ島防衛の最前線だったという。ここに要塞を構えれば、海からの攻撃を確実に防ぐことができる。今でも砲台のあとが残っている。
 そういえば、登山口付近には軍事施設があった。アンテナが多数林立していたのが印象的だった。


 ダイヤモンドヘッドから東にむかってドライブ。ココヘッドを右に見ながら(ここにはハナウマ湾がある)、オアフ島最東端のマカプウ岬を横切り(ここにはシーライフパークがある)、72号線を北上して途中でパリ・ハイウェイに入る。

 しばらく急な上り坂が続く。トンネルを抜けると下りにかかり、すぐにわき道が見える。その道を進むとヌアヌ・パリ、パリ展望台に着く。強風と天候の急変で知られる観光名所だ。
 寝ていたKANA&TAKUを起こし、絵はがき用写真その2の撮影。5時をすぎていて観光客もまばら。頼める人がおらず、“ひげ”はカメラマンに徹する。

 帰路、アロハタワーに寄ってみたが、駐車場所がわからずに退散。かわりにアラモアナSCで途中下車。きのう見そこなったオールドネイビーで買い物し、マクドナルドで夕食。
 登山で疲れた子どもたち、早く寝てしまうだろう。

web『たまてばこ』 No.158 2001-03-25-Sun


第3章

オアフの風2001〜5

「ミスターオカザキ、結婚記念日おめでとう!」
 午前9時半。ベルボーイのトロイさんがやってきた。リボンをかけた箱とポラロイドカメラを手にしている。

 3月26日。“ひげ”&“ひめ”の13回目の結婚記念日である。(日本時間の26日なので、ここハワイではきのう25日がそれにあたる。が、こまかいことは気にしない)

 箱の中身はデコレーションケーキ。きのうの朝コインランドリーに行ったときに、フロントで頼んでおいたものだ。“ひめ”には内緒のリクエスト。

「明日、ケーキのデリバリーを頼みたいのですが。13回目の結婚記念日なもので」
「ケーキの種類は?」
「チョコレートケーキを。丸いやつがいい」
「上に何か書きますか?」
「どんなふうに書いたらいいかな。“Happy 13th Anniversary”と...」
「そうね、“ LOVE YOU”なんてどう?」
「それがいい。ありがとう。部屋に届けてほしいのだけど」
「部屋の番号は?」
「7××です」


 できない英語を苦使(“駆使”ではない)して、ようやくこんなお願いが通じた。会話を読み上げれば1分とかからないが、じっさいには15分ほどもねばっただろうか。
 フロントのジョイスさんは“ひげ”の英語を聞き分け、ケーキ屋に何軒か電話して上のとおりリクエストし、9時半にホテルに配達、ベルボーイのトロイさんが部屋に届ける、そんな手はずまで整えてくださった。

 トロイさん曰く、
「ぼくも結婚13年目。3月22日が記念日なんだ」
「そうですか、同じですね。13年前にハネムーンで来たときには、あそこのロイヤル・クヒオに泊まったんですよ」
「いいねー」
「どうもありがとう。あした、きっと“ひめ”は大喜びすると思うんだ。ほんとにありがとう」
「どういたしまして」


 届いたケーキは“パティセリー”という店の品。注文書には“Do bash cake”とある。アメリカンスタイルのケーキの店だと聞いていたが、届いたものは日本でよく見るデコレーションケーキと同じだった。これを“Do bash cake”と呼ぶのだろうか。ジョイスさんが電話でさかんに「ドゥバッシュ」と言っていた。注文書の“Standard dec”という文字、これはデコレーションケーキのことだろう。
 大きさ7インチ。4人で3回楽しめた。これで14ドル6セント、現在のレートで1700円ほど。安い。

 トロイさんがポラロイドで記念写真を撮ってくださった。“ひげ”持参のデジカメでも1ショット。「オアフの風」にはこれをUPする。
 “ひめ”がケーキカットをしてから思いついた。ケーキのアップも撮っておけばよかったと...。


 したくができたので午前10時すぎに行動開始。3日目にしてからだがハワイ時間になってきた。慣れてきたころに帰国、しなくていい。今回はパックツアーの4泊6日でなく、個人旅行の6泊8日だ。まだあと4日ある。

 行き先はドール・キャナリー。ホノルルのダウンタウンにあるドールのパイナップル工場である。昨年も来たのだが、日曜日の夕方だったので時間外。併設されているアウトレットの店でしかたなく買い物をして帰ったところだ。

 じつは13年前、新婚旅行のときに訪れたことがある。いまのようにきれいに整えられてはおらず、アウトレットモールもできていなかった。
 そのかわり、工場にはパイナップルの缶詰が生産されるところを見学できるコースがあり、ひとまわりしたあと、とれたてのジュースを飲ませてくれた...その記憶をたよりに昨年再訪し、今年あらためて挑戦しにきたという次第。

 ところが、どうも様子がおかしい。今日は月曜日、開館時間は10時から17時で時間外ということもない。それなのに、パイナップル工場が稼動しているようすがちっとも感じられない。きれいに整えられた施設にもかかわらず、訪れている観光客もまばらだ。
 これはもしかすると...。

「工場は見学できますか? パイナップルを缶詰に入れているところを見たいのです」
「工場はフィリピンに行ってしまったよ」


 “ひめ”がみやげ物屋に入ってたずねたところ、上のようなことが判明。なんだ、それならそうと早く言ってくれて!
 そういえば、どのガイドブックにも「ドール・キャナリー」「パイナップル生産の歴史が」「アウトレットと映画館の複合施設」とは書いてあるが、「生産工程が見学できます」「ジュースのサービスがあります」とはひとことも書いていなかった。大いなる思い込み、大いなる勘違い。

 工場がフィリピンに引っ越したと話すと、
KANA「行きたーい!」
TAKU「また飛行機乗るの?」
 そうかんたんに行けるところではないんだな。

 2年越しの夢破れ、去年と同じ靴の安売り店でしかたなく買い物。“2時間まで無料”という駐車場のサービススタンプをもらい、ドール・キャナリーをあとにした。


 オアフ島の中央部に「ドール・パイナップル・プランテーション」がある。パイナップル畑の真ん中につくられたドールの施設で、「ギネスに登録された世界最大の迷路」が売り物になっている。パイナップルジュースのサービスはこちらでしてくれる。

 この迷路、“ひげ一家”は昨年すでに体験済み。1度は挑戦してみるとおもしろいが、2年続けて歩くほどのものでもない。今回は訪問予定なし。

 そういえば、春はパイナップル収穫の季節ではなさそうだ。ノースにむかうハイウェイの左右、「見わたすかぎりのパイナップル畑」のパイナップルはほとんど刈り取られたあとだった。


 午後からはホノルル動物園へ。
 とにかく広い。さんざん歩きまわって、軽く食事。サイミン、スパムムスビ、シェイブアイス...。ファーストフードの王道をきわめる。

 帰路、フードパントリーで食料品を買い込み、いったんホテルに戻る。
 体勢をたてなおし、徒歩で近場のお店めぐり。今回のハワイで初めてカラカウア通りを歩く。プラダ、ナイキタウン、バナナリパブリック、ロイヤルハワイアンSC、レスポートサック、インターナショナルマーケットプレイス、DFSギャラリア、ロコ・ブティック...。

 お疲れさまでした。何も買いませんでした、念のため。

web『たまてばこ』 No.159 2001-03-26-Mon


第4章

オアフの風2001〜6

 ワイキキを脱出し、H1、H2、カメハメハハイウェイを通ってノースショアへ...と書くとかっこよく聞こえるが、レンタカー初心者にとってはかなり厳しいドライブだった。
 往復およそ100マイル。ノースでのアクティヴィティが申し分のないものだっただけに、往復のドライブのきつさがよけい際立って思い出される。
 車にまつわるあれこれは、いずれ章をあらためて記すことにしよう。


 目的地はワイメア。ノースの中心地ハレイワから海岸線を北東に10分ほど走ったところにある。ビーチパークとフォールパーク、“海浜”公園と“滝”公園というおよそ両極端の公園が国道をはさんで並んでいる。山が海岸線までせり出しているハワイならではの地形を生かしたところだ。

 最初に行ったのは“滝”公園のほう。ガイドブックや現地のフリーペーパーなどで去年から見知っていて、行ってみたいところの一つだった。
 しかし、ガイドの説明書きがよくわからない。おそらく行ったことのない人が書いているのだろう。

 ガイドには「ワイメアバレーアドベンチャーパーク」と「ワイメアフォールスパーク」という2つの名前が出てくる。英語の記述を読みとると、アドベンチャーパークの入園料が59ドルで、フォールスパークが24ドル。アドベンチャーパークの入園料には乗馬、四輪バギー、カヤック、マウンテンバイクのうちから2つ選んで体験できる料金が含まれている。いっぽう、フォールスパークの方には「アクロバティッククリフダイビング」(滝壺にむかってダイビングしている写真がガイドブックに載っている)や「古代フラショー」を無料で見ることができると書いてある。この“2つの”公園、同じものだろうか違うものだろうか。いったいどんなしくみになっているのだろう。

 出かける前にホテルのツアーデスクに行ってみた。席にいたのはからだの大きなハワイアンで、質問するのに気おされてしまう。デスクの横でもじもじしていると...。
「なにかお困りですか?」
 姿に似あわない(失礼)とてもやさしい声をかけてくれた。
「おたずねしたいことがあります」
「なんなりとどうぞ」
「車でワイメアパークへ行きたいのですが、入園料はいくらかかるのでしょうか」
「アドベンチャーパークの方が59ドルで、4つのアトラクションのうち2つ遊べます。フォールスパークなら24ドルです」

 ガイドの英語を読みとったのと同じだ。しかし、2つの公園の関係はこれではわからない。悲しいかな、“ひげ”の英語力ではこれ以上たずねることができない。
 しかたがない。できる会話でお茶をにごすことにしよう。
「何時間くらいで着きますか?」
「50分から1時間くらいかな」
「ありがとう」
「どういたしまして。すてきな1日になりますように」

 
 ワイキキを出ておよそ1時間。海岸線を走る国道の左手(北側)にワイメアビーチが見えてきた。そろそろだ。
 右(南側)を用心して見ながら車を走らせていると、公園の入り口を示す看板が立っていた。ここだここだ。右折し、駐車場まですすむ。
 駐車場に係員がいる。駐車料金がかかるのか。そんなことどこにも書いていなかったぞ。
「こんにちは。駐車料金ははじめの1時間が無料で、それからあと1時間ごとに3ドルかかります。もし長くいるようでしたら、そのぶん料金が必要です。このチケットをお持ちください。最初にビジターセンターにお寄りください。車はあちらへどうぞ

 若い男の子だった。ゆっくりはっきりの英語で、わかりやすく説明してくれた。
 もらったチケットを見る。英語がずらずらと書いてある。おそらく「駐車場でなにかあっても責任持ちませんよ」ということだろう。
 裏も見る。“Validation”という単語があるのに気がついた。これは“validity”に関係があるな。きのうのドールキャナリーでもそうだった。一定金額の買い物をすると駐車料金がサービスされることだ。なになに...「みやげ物屋で10ドル以上の買い物をすると、駐車料金は無料になります」と。
 なるほど。こういう説明を親切にしてくれる国ではない。「知らなかった、読まなかったあなたがいけないのでしょ」ということか。その手にはのるもんか。
(帰りがけ、3時間分の駐車料金9ドル払うならと、みやげ物屋で15ドルの買い物をしてしまった。得したのか損したのか...)

 ビジターセンターへ。ここで謎が解けた。受付の女性の説明と掲示内容によると、ワイメアバレー(“valley”は渓谷)全体がひとつの公園になっていて、入園するには24ドル必要。それだけあれば、滝壷飛び降りショーも古代フラショーも見ることができる。園内を移動するトラム(バスのような乗り物)も乗り放題。
 で、入園した公園内で4つのアトラクションもやっている。オプションにすると一つ20ドルかかるが、2つつけたお得チケットは59ドルでいい。
 そういうことだったのか。早く言ってくれよ。

 KANAもTAKUもアトラクションができる年齢には達していない。そこで入園料だけにする、つもりだったが、ランチビュッフェ(バイキングのこと)込みで1人32ドル89セントというセットがあり、それにした。ややこしい。
(子どもは大人の半額)

「ビュッフェレストランはこちら。このチケットを受付に出してください。公園に入るにはこちらのレシートを入り口に。入り口はあそこに見えるところ、左のほうです」
「ありがとう。トラムは?」
「乗り降り自由です。あそこから乗ってください」
「日本人はたくさん来ていますか?」
「日本語ねー、トラムで日本語の説明はないわね。たぶん1時半ごろ運転する人が少ししゃべれたと思うけど」
「どうもありがとう」


 これまた“ひげ”の悲しい英語力。“many Japanese?”が伝わらなかった...。

 とにもかくにも、ようやく入園。ハイウェイの緊張しまくりドライブでのどがカラカラになったので、スナックバーで冷たいものを頼むことにする。

 そうだ、クーポンがあった。フリーペーパーに、「ワイメア公園の食べ物・飲み物10%オフ」というクーポンがついていたはずだ。この冊子は持ってきていなかったが、「ご自由にお取りください」と同じものが何十冊も置いてある。
 ほかに注文する人を見ていると、クーポンを利用している人はいない。クーポンの載った冊子が目の前に置いてあるのに、10%オフなどという説明はひとこともしてくれないし、掲示もしていない。それでだれも文句を言わない。さきほどの駐車料金の割引と同じ。「知っているあなたが得するのよ」というアメリカンスピリットだ(大げさか)。

 よし、これだけ英語で苦労したんだ。得してやろう。1冊いただき、破りとったクーポンといっしょにアイス2つと飲み物1つを注文した。

「クーポンですね。10パーセント引きになります」
「破れちゃった。ごめんなさい」
「あやまることはありませんよ。4ドル81セントです」
「はい、10ドルと...81」
「オーケー、6ドルのおつりです」
「ありがとう」
「楽しんできてね」


 あとで計算してみて気がついた。この金額、アイス1つと飲み物1つの金額マイナス10%になっている。言いに行こう...やめた。ごめんなさい。


 このペースで書いていくと、また帰国できなくなってしまう。以下、要点のみ。
 「フォールスパーク」の無料ショーはそれなりに楽しめた。中でも崖の上から滝壷めがけて飛び込む2人の若者には声も出ない。60フィート、18メートルの大ダイビング!

 午後からは「波が比較的おだやか」というワイメアビーチへ。しかし、さすがにノース。20分に1度くらいは身長の3倍ほどもある波がくだけて寄せる。かんたんに「ひと泳ぎ」できる波ではない。
 KANAもTAKUもからだをさらわれてしまいそうな波と遊ぶのがおもしろく、日がかたむくまでビーチですごすことに。
 くもりがちだったが思いのほか紫外線が強く、ほんのりピンク色に日焼けしてしまった。


 “ひめ”の機嫌がよくない。

 初日にヴィトンで見かけ気に入ったバッグを買いに、帰りにアラモアナSCに寄った。そう、「新作で日本未入荷」のあれだ。「ミディアムルーピング」という商品名らしい。$530、今のレートなら州税込みで69000円ほど。

 ふんぎりがついてショップに行ったところ、
「きのう売り切れました」
 無情な宣告をされてしまったのだ。
「“欲しい”と思ったら買わなきゃいけないのよね...あーあ...」

 ワイキキのショップもヒルトンのショップも売り切れとのこと。注文も予約も受けつけてくれない。毎日夕方4時から5時ころに商品が入荷するので、その中にブツが入っていれば運良く手に入れることができる、らしい。
 チャンスはあと2日。“ひめ”の運命やいかに。

web『たまてばこ』 No.160 2001-03-27-Tue


第5章

オアフの風2001〜7

 アロハスタジアムでスワップミートが開かれるのは水土日の週に3回。これまでのハワイ旅行では開催日が到着日や帰国日にあたることが多く、おとずれる機会に恵まれなかった。
 今回は日程が長く、アクセスするための車もある。チャンスだ。早起きして、9時前にはウエストにむかうH1を走っていた。

 おっと、その前にカパフル通りのレオナルズという店に寄ってみた。ホームメイドの「マラサダドーナツ」が有名らしく、ハワイの友『別冊JJ』からひめ≠ェ見つけ出した店である。
 店内には5、6人が注文待ちで並んでいる。1人出ていくと1人入ってくるという感じで、客があとを絶たない。それぞれ買っていく量が多く、ドーナツのいっぱいつまった箱を手に店を出ていく。この時間に買って、いったいいつどこで食べるのだろう。

 店の前にあるベンチでは、若い白人女性がドーナツをほおばりながらおしゃべりに興じている。この時間からドーナツを食べつづけるとこうなるであろうという典型的な体形をしている。
 “ひげ一家”は朝食後すぐだったので、申しわけ程度にドーナツ4つ(もちろん1人1つずつ)。箱ではなく、何の変哲もない白いポリ袋に入れてくれた。


 H1からエアポートを経由し(これは帰国当日の朝、道に迷わないための“予行練習”)、78号を横切ってアロハスタジアムへ。きのうの教訓を生かし、計画したとおりの道を間違わずにたどることができた。ワイキキから30分弱の行程だった。

 スタジアム=野球場の感覚が日本とは大きく違う。球場をとりかこむように巨大駐車場が配置されている。収容台数は数百台、いや千の単位かもしれない。そのもっとも球場側一周にテント小屋がならび、出店している。
 入り口で12歳以上1人50セントを払う。一般の車は店の外側の駐車場、あいている好きなところにとめることになる。もっとも、好きなところと言っても、9時すぎではかなり奥のほうになってしまう。なにせ開始が6時だから。
 入り口から球場を半周した反対側に、ようやくあいてているところを見つけた。

 スワップミート。日本でいうフリーマーケット≠ニはだいぶイメージが違っている。アマチュアが不要品を持ち寄ってたたき売りをする、というのではまったくない。出店しているのはほとんどがプロ。Tシャツ・アロハシャツの店が断トツに多く、5枚で20ドルなどという手書きの看板がいたるところにぶらさがっている。宝石・アクセサリー、民芸品、ナッツ類などの店がそれに続く。クレジットカードOKのところが多いのも、プロの店である証拠だろう。
 おもちゃ屋、いれずみ屋、ウクレレ屋なども目についた。
 めずらしかったのは、木のボードにその場で名前を彫ってプレート(表札)をつくってくれる店。「11ドルから」という表示。これは1店しか見かけなかった。

 露店が並んでいる通りに入ってすぐ、パイナップルを購入。体格のいい地元のおじさんが2人でやっている屋台だ。1個を一口サイズに切り分けて袋に入れたものが3ドル。切り分ける前のまるごと1個でも3ドル。それならすぐに食べられる袋入りがいい。(1個3ドルは“安い”部類ではない)
 半周もすると、どこもほとんど同じものが並んでいることがわかり、ただ歩くだけになった。

 今回のハワイのどこかで、TAKUに子ども用のスケートボードを買ってやる約束をしていた。あるおもちゃ屋にそれがあった。ワイキキのスポーツショップでは100ドルほどもしたものが、ノーブランドではあるけれど13ドル。

「13ドルですか。 安くなりませんか?」
「だめです」
「子どものおこづかいで買うのですが」
「2台で25ドルにはしますが、1台は13ドルです」


 この値引き交渉は“ひめ”が担当。やはりプロの店、というよりもただの店だ。フリーマートとは性格が異なっている。安いといえば安かったが...。
 スケートボードはけっきょく言い値で購入した。

 店が途切れたところで、地元の子どもとおぼしき一段が声をはりあげていた。小学校の中学年くらいだろうか。
「ポケモンカードありまーす!」
 カードホルダーに入れたポケモンカードを売っている。仲間の子がページをめくって見せている。芸がこまかい。きっと“レアもの”などあるのだろう。ここなら値引き交渉に応じてくれるかもしれない。買いたいとは思わないけれど。


 1時間ほどでスタジアムをあとにし、さらに西にむかう。次の目的地は巨大アウトレットのワイケレプレミアムアウトレット。

 途中、パールリッジセンターの脇を通った。昨年はバスを乗り継いで(正確に言うとドールパイナップルプランテーションの帰りに)ここを訪れたのだった。見覚えのある店が並んでいる。
 センターとなりの、これまた巨大駐車場がにぎやかだ。スワップミートほど大規模ではないが、露店が出ている。雰囲気からして、こちらのほうがフリーマーケットに近そうだ。ガイドブックでは見かけないところ。なんだろう。
 左ハンドルにも慣れ、わき見運転をする余裕も出てきた“ひげ”であった。

 「プレミアムアウトレット」は開発会社の商標(のようなもの)。日本でも同じ系列のアウトレットが昨年夏に御殿場にオープンした。両者をくらべると、御殿場のほうが大きいし充実している、ように感じた。
 このワイケレはワイキキ滞在者のためのオプショナルツアーのコースにもなっていて、日本人も多い。というか、日本人の買い物のためにオプショナルツアーが組まれている。

 出店ブランドのうち、オールドネイビー(アラモアナSCよりも品揃え豊富)、バナナリパブリック(はっきり言って失望)は“ひげ”御用達。“ひめ”はケネスコールで靴とバッグを半額で、KANAは夏の発表会用のシルクのドレスを20%オフで、それぞれ購入。
 「ワイケレは1日がかり」と言われるが、軽食をふくめて3時間ほどでツアーを終了した。


 買ったスケートボードの練習をしたいと子どもたちが言う。買い物ばかりの1日だったので欲求不満気味なのだ。つきあうことにする。

 ワイキキの東の端、カピオラニ公園に車で行く。ホノルル動物園のとなり。ビーチと動物園のあいだに大きな緑地があり、中を車道が走り駐車場が配置されている。

 KANAとTAKUは舗装された歩道でボードの練習。そうかんたんに両足ですいすい乗れるようになるものではない。
 そのうちに飽きてきて、水に入りたいという。水着は着ていないので、はだしにして波打ち際で遊ばせる。夕方の4時から5時というのに、太陽はまだ高く、日差しも強い。肌がじりじりしてくる。日中に直射日光の下に裸でいたら、やけどするほど日焼けするだろう。

 ワイキキの波はワイメアとくらべて“おだやか”だ。
「あした、最後の日だからビーチに連れて行ってあげよう。どっちがいい?」
「きのう行ったところがいい!」
 ノースの中では“おだやかな”ワイメア行きが決定した。


 今回の個人旅行が手配できたのには、ワイキキ在住の 宇井英一さん の力によるところが大きい。個人で旅行業を主催している青年で、ホテル・コンドミニアムの50%オフ予約をあっせんする仕事が会社のスタートだったらしい。

 宇井さんの会社のことはハワイ個人旅行の経験談を書いた本で知った。さっそくHPにアクセスし、とんとん拍子に話がすすんでいま泊まっているホテルの50%オフ予約が成立し、8日間の個人旅行が実現するにいたった。

 その宇井さんに連絡をとり、お礼をかねて夕食をごいっしょすることにした。
 18時半、ロビーで待ちあわせ。お見えになったのは想像していたとおりのさわやかな好青年だった。ジーンズにアロハシャツ、黒いバッグを手にしている。初対面のごあいさつをし、子どもも入れる気軽なレストランへ。

 連れて行ってくださったのは近くにあるジョイホテル1階のカプチーノという喫茶&軽食の店。インターネットもできるというのはここのことだ。
 メニューは日本語併記、そうめん、チャーハン、カツカレー、うな丼...日本の定食はなんでもござれという店。

 食事をしながらいろいろお話をうかがった。ホテルのこと、ネイバーアイランズのこと、航空券のお得情報からビーチ情報まで。小1時間、楽しいひとときをすごすことができた。

「いろいろお世話になりました。ありがとうございました」
「50%オフカードが利くうちに、来年の春またぜひお越しください」
「次の予定は来年の夏ですが、できればまた春に来たいですね」
「お待ちしています。これ、おみやげです」

 バッグから取り出してくださったのは××。これ、“ひめ”のマイブームの逸品。いたく気に入り、
「宇井さん、ポイントあがったわ」
 とつぶやいていた。

 宇井さんは、あらわれたときと同じように、さわやかに去っていかれた。

*宇井さんのHPは「お役立ちリンク」にご紹介してあります。


web『たまてばこ』 No.161 2001-03-28-Wed


第6章

オアフの風2001〜8

 燃料計の目盛りが“E”に近づいてきた。ガソリンを補給しなくてはならない。

 ハワイの(というかアメリカ)のGSはセルフサービスが基本。ノズルを握ったことなど一度もないので、写真つきのていねいなガイドブックでじゅうぶん予習してからスタンドに乗り入れた。カパフル通りに並んでいる何軒かのうち、いちばん最初にあった「76」というGSだった。

 ガイドブックによると、まずクレジットカードを差し込み、差し込み、差し込み...何度やってもエラーになってしまう。ステップ1の段階で、すでにあせりモードに突入してしまった。
 落ち着いて、落ち着いてと言い聞かせながら表示をよく見ると、ふだん利用しているJCBのマークが貼っていないではないか。なんだ、そういうことだったのか。
 予備に持っていたVISAカードを取り出し、あらためてインサート...なぜかこれも受けつけてくれない。
 奥の手だ。いつもニコニコ現金払いでいこう。コンビニを兼ねた店内に入り、店員に声をかけた。

「このカードが使えないので、現金でお願いします。満タンにしたいのですが、いくらぐらいかかりますか?」
「20ドルおあずかりします」
「4番の給油機です。次にどうしたらよいのですか?」
「赤のノズルを持って入れてください」
「ありがとう」


 ノズルが3つ並んでいる。レギュラー、プラス、スーパー。教えてもらった「赤」はレギュラーだ。ガイドブックには、
「レンタカーの場合はアンレディッド(unleaded=無鉛)を必ず入れること」
とある。マニュアル人間の“ひげ”は店員さんの教えを無視し、無鉛のうちの安いほう「プラス」の白いノズルを手にした。ちなみに高いほうの無鉛=スーパーは青いノズルだった。

 ノズルを注入口に差し、レバーを握る。ガソリンが勢いよく注入されていく。どんどん入る。給油機の2段になっているカウンターの表示は片方がガロン、もう片方が金額になっていて、連動して数字が変わっていく。
 ガタン。注入が止まった。まだ満タンにはなっていないので、さらにレバーを引く。が、ガソリンは一滴も出てこない。表示は「20ドル」ぴったり。おそらくレジで「20ドルでストップ」の操作をしてあるのだろう。
 ほんとうはもっと入れて満タンにしたいのだけれど、それを伝える自信がない。しかたがない。四分の三は入ったので、これでよしとしよう。


 H1からH2、99号カメハメハハイウェイを走り、ノースへむかう。おととい経験している道なので、迷うこともない。
 ドールパイナップルプランテーションをすぎ、丘を2つばかり越えると、ノースの海が眼前に広がる。景色をたのしむゆとりもでてきた。

 ワイキキからハレイワまでおよそ50分。ここからワイメアビーチまでは10分とかからないだろう。今日はすぐに83号には乗らず、分岐点を左折しハレイワタウンに寄り道する。

 ハレイワ。ノースの正面玄関である。イワという軍艦鳥が多く生息していたので、イワのハレ(=家)という名前がついた...これはガイドブックの受け売り。
 ノースショアマーケットプレイスの駐車場に車をとめる。サーフショップ、コーヒーショップ、アクセサリーショップなど、有名ブランドではないけれどこぎれいな店が並んでいる。
 アラモアナのような巨大ショッピングセンターもハワイならば、このマーケットプレイスのようなところもハワイである。

 コーヒーギャラリーという店で軽食をとる。子どもたちが注文したスムージーはできあいの半練りスムージーではなく、フルーツとクラッシュアイスとシロップをミキサーにかけてつくった本物のスムージーだった。
 イートインできるコーナーの真ん中にパソコンが3台ほど置いてあり、1ドル10分でインターネットができると書いてあった。田舎町にインターネットカフェ。アメリカの懐の深さを垣間見たような気がする。


 ワイメアビーチにむかう。海岸線を走りながら目に入ってくる海は、おとといよりもかなり波が高い。真冬のパイプラインほどではないにしても、湘南海岸とは比べものにならない。

 くりかえすが、“おだやか”というワイメアもノースである。砂浜に出ると赤い旗がかかっている。旗の下の表示板には「危険! 波高し」とある。20分に1回の大波は、今日は10メートルほどもしぶきをあげている。
 それでも人々は海に入っている。その人々をライフガードが注意するでもない。どこかの国の「危ないから海から出なさい」などという居丈高なアナウンスなど、いっさい聞こえてこない。“at your own risk”の精神なのだろう。

 “ひげ”一家は赤旗の立っていない、“おだやか”な場所に陣取った。
 波打ち際に出てみる。5メートルも進むと急激に深くなる。慣れないと大人でもこわい。
 波が引くと砂の上に足が出る。その場に立ったままでいる。ぐーっと引いた波が寄せてくると腰から胸、肩までが水につかる。一回の波の潮位の差がとても大きいのだ。

 波が引き、空をおおうように盛りあがる。まるで2階からたたきつけるように波頭がくだけ落ちてくる。その勢いにまかせるように身を投げ出すと、浜にむけてすーっと10メートル近くもからだを流してくれる。ジェットコースターのような感覚が心地よい。サーフィンやブギーボードにはまる若者の気持ちが少しわかった(じつは“ひげ”はマリンスポーツ音痴なのであった)。

 幸か不幸か、くもり空である。日焼けせずに遊べるのはラッキーかもしれない。雲の切れ間から強烈な光が差し込んでくることもある。かと思うと、一転してポツリポツリと雨つぶも落ちてくる。そろそろ潮時か。
 ABCストアで調達してきたロールマット(=ゴザ)を近くの日本人親子連れに進呈する。ホテルのタオルしか持っていなかったので、たいへん感謝された。
「いえいえ、もうあした帰国しますから。どうぞ使ってください」
 アロハスピリットが身についた、かな。


 帰路、ふたたびハレイワタウンへ。ここまできてマツモトに寄らない手はない。マツモトキヨシではない、マツモトストアだ。
 ただの雑貨屋といえばそれまでだが、なんといってもここのシェイブアイスは有名である。たしかにおいしい。氷のきめの細かさがほかとはまるで違う。絹のような≠ニいうおよそ氷にはふさわしくない形容が、なんの違和感もなく使えてしまう。
 マツモトさん、バンザイ!

 ついでにあと2軒。ストロングカレントというサーフショップとジャングルジェムというアクセサリーショップ。どちらもガイドブックおすすめの店だ。親子そろって買い物...。


 最後の晩餐はアラモアナSC1階にある巨大ファーストフードコーナー、マカイマーケットフードコートにて。残った現金20ドルをめぐる家庭内の攻防はここでは省略。

 19時すぎ。満たされたおなかで、最後の最後にふたたびGAPへ。到着日にここアラモアナ店とカハラ店に入って以来である。

 行かなければよかった。見なければよかった。かなりの品がセールになっている。初日に買ったTシャツやベルトなど、半値だ! たった数日の違いで。

「このまえ買ったときよりも安くなってるね」
「いつですか」
「土曜日かな」
「そうなんです。ここ何日かのあいだに少し値段が下がりました。レシートをお持ちならば..」
「レシートはホテルの部屋なんだ。明日帰国するし、残念だ」


 “ひげ”お得意の価格調整。ここでもレシートがあれば差額を返金してくれるという。しかし、取りに戻る時間はもう残っていない。
 教訓。ギャップのレシートは常に持ち歩くこと。


 ホテルに戻る道すがら、目についたGSにふたたび立ち寄る。BC石油という店。ガソリン満タン返しが今回のレンタルの契約なので、明朝あわててスタンドをさがして給油するよりも、できることは今晩のうちに済ませておこうというわけ。
 
 “self”の5番の給油機に車をつけ、降りてカード挿入口をさがす。困った。朝の店とは給油機の型が違う。使い方がわからない。店の中にいた店員にたずねた。

「クレジットカードが使えますか?」
「使えるよ」
「JCBは?」
「これはだめだね」
「VISAは?」
「オーケー。こっちへどうぞ」


 セルフサービスだというのに、わざわざ給油機のところまで連れて行ってくれた。さらに、カードを差し込み、引き出し、ノズルを手に取って「さあ、どうぞ」と手渡すところまで。ほんとうにありがたい。

 “unleaded”を確認し、給油開始。表示は同じように上下2段になっている。
 しばらくしてノズルにドンと軽い衝撃がある。レバーをいくらひいてももうガソリンは出ない。正真正銘の満タンだ。7.29ガロンで14.21ドル。


 帰国準備。
 1週間前は大きめのスーツケースに半分ほどの荷物だった。それが今やケースからはみ出している。おみやげがはみ出したスーツケースのふたに乗ってロックをしようとしているステロタイプなマンガをよく見るが、それが笑えない状況におちいってしまった。
 KANAもTAKUもリュックはめいっぱい。それでも入りきらず、ABCストアの袋を何枚も重ねて新しい手荷物を1つつくってしまった。
 あー、帰国してからの請求書がこわい...。

 洗濯もした。荷づくりもした。朝の確認もした。着替えも用意した。「おふぃす ひげうさぎ」にもメッセージを書き込んだ。帰国準備完了!
 あとは寝坊しないこと。おやすみなさい。

web『たまてばこ』 No.162 2001-03-29-Thu


第7章

オアフの風2001〜9

 寝坊すると帰国できない。モーニングコールを頼むことにした。ABC順に項目が並んでいるホテル案内(これまた全編英語)をひもとく。M、M、M...ない! 「モーニングコール」という単語が載っていない。
 あらためてよく見る。ひっくり返したわけではないが、なんと“W”のところにあった。その名も「ウェイクアップコール」と。
「ホテル電話の“0”を押してください。オペレーターがお受けします」
 ビジネスホテルによくある、こちらでプッシュボタンを操作して時間を自動的に登録する形式ではなさそうだ。
 呼吸をととのえ、話す英文を2度3度反芻する。受話器をとり、“0”をプッシュ。

「はい、こちらホテルのオペレーターです」
「703号室です」
「はい、なにか」
「ウェイクアップコールをお願いします」
「わかりました」
「明日の朝、5時にお願いします」
「5時ですね」
「そうです。お願いします」


 ふー、通じた。目の前で会話するならば身振り手振りでなんとか意思を伝えることもできよう。それが電話となると、発音がヘンでもダメだろうし、単語がわからなければどうしようもない。緊張の一瞬であった。


 枕もとの電話がけたたましく鳴る。寝入ってから4時間と少し。朦朧とした頭で何が起きたのかを考える。帰国の朝...一瞬にして冴え、眠気がふきとんだ。「ウェイクアップコール」だ。
 もしかするとオペレーターが直接出るのかもしれない。受話器を手にし、
「グッモーニン」
さわやかにあいさつをする。
 しかし、受話器から聞こえてきたのはハワイアンミュージック。ナマの人間の声はしない。機械にむかってあいさつしてしまった。
 気恥ずかしさに、はっきりと目がさめた。午前5時。長い1日がスタートする。


 ベルデスクに荷物運びと車の出庫をたのむなどという芸当はまだできない。パーキングまで自前で大荷物を運び、チェックアウトのためフロントへ。

「チェックアウトをお願いします。703号室です」
「承知しました。しばらくお待ちください。カードでのお支払いですね」
「はい。カードが必要ですか?」
「いえ、いりません...これが清算書です。全部で736ドルになります」


 ガイドブックには、内訳をたしかめ、わからないな数字があれば尋ねるようにと、会話の例文つきで書いてある。
 プリンタから打ち出された2ページにわたる清算書は、これまた英語。さっと目をとおす。並んでいる項目のうち、日付と金額の欄がまず理解できた。

 「.99」という数字が金額欄にいくつもある。99セントのことだろう。となりの適用欄を見ると「528××××」という7桁の数字。インターネットにアクセスするための電話番号だ。何分、何十分、いや何時間使っても、1回接続するたびに99セントということになる。教わったとおりだ。
(このことに気がつかずに接続、切断をくりかえしながら使っていたので、なんと7日間で21回分もチャージされていた。項をあらためて書く予定)

 次に目についたのが「5.97」という数字。6ドル弱、750円ほどになる。毎日1回はチャージされている。何だろう。摘要欄には“NINTENDO”とある。ニ、ン、テ、ン、ド...任天堂か。マリオだ。タダじゃなかったんだ! 
 たしかテレビの上に注意書きがあったはず。よく読んでおけばよかった。これも使うたびに時間に関係なく、1回につき5ドル97セントがチャージされている。ぜんぶで11回。つけたらつけっぱなしのほうがお得というわけだ。あまり教育的ではないな。

 次に、毎日1回かならずついている「95.00」という数字が気になった。1万円、そんなに使ったか? アセリモードに突入。
 頭のすみにしまっておいた例文集をめくり、会話文を思い出す。

「すみません、これは何の金額ですか?」
「あー、これは宿泊料ですよ。1泊につき95ドル。その下の“10.84”が税金です」


 そういうことか。アセリモード解除。摘要欄に「ROOM」とたしかに書いてあるではないか。

 見慣れぬ数字がもうひとつ。「3.13」、400円弱。こんどはあわてず摘要欄を...「SAFE」とは「セーフティボックス」のこと。たしかに使った。オーケー。

「わかりました。これでけっこうです」
「では、ここにサインしてください」
「日本語でいいですか」
「どうぞ。JCBカードにチャージされます」


 チェックアウト手続き完了。最後のごあいさつ。

「ベルデスクのトロイさんはいらっしゃいまいか?」
「もう帰宅しました」
「フロントのジョイスさんは?」
「今日はオフです」
「そうですか。お2人にありがとうとお伝えください。結婚13周年のケーキを頼んでいただいたのです。トロイさんには部屋まで持ってきてくださったりして」
「そうですか。承知しました。××××さまですね。メモに残しておきます。かならずお伝えします」
「ありがとう。よろしくお願いします」
「またぜひいらしてくださいね、来年にでも」
「ぜひ来ます。また来年、夏か春には戻ってきます」
「ありがとうございました。お気をつけて」


 オハナ・ワイキキ・マリア。“ひげ一家”の宿泊したホテル。DFSギャラリアの裏手、クヒオ通りに面した立地のよいホテルだった。


 パーキングから最後の出庫。幅も高さもカーブもギリギリしかない誘導路。ホテルなのによくこれだけ狭く設計したものだ。7日前にはこんなところ通れるか、帰るまで無傷でいられるわけはないと思っていた。
 しかし、慣れとはおそろしいもの。いまでは車幅感覚もつき、すいすいとクリアしていく。
 4Fから3F、2F。パーキングの係員にチェックアウトを済ませたことを話し、駐車票をはがしてもらう。

 ホテルからクヒオ通りへ。すぐに右折、ロイヤルハワイアン通りへ。ショッピングセンターの交差点を左折し、カラカウア通りへ。
 7時前のワイキキ中心部。ボードをかかえ海へ行く人、タンクトップでジョギングする人、開店準備にはげむ人、清掃車、帰国するツアー客の送迎車...。深夜のワイキキもにぎやかだが、早朝のワイキキもにぎわっている。ただ、のんびり歩く日本人は見かけない。

 ABCストアをさがす。通りのあちこちに点在するが、ほとんどが閉まっている。入り口には7時開店とある。まだ10分ある。できるだけ早く空港に到着したいので、開店まで待っているわけにはいかない。
 カラカウア通りももう少しで終わってしまうというところで、開いているストアを見つけた。“ひめ”がレシートを持って入っていく。100ドル分以上のレシートを貯めると、マグカップを1つもらえるのだ。


 カラカウア通りを左折、カパフル通りへ。左にホテル密集地、ゴルフ場がすぎていく。右には「76」から始まるGS銀座。バーガーキング、ドーナツのレオナルズ、ケンタッキーフライドチキンも後方に去っていった。

 H1の高架をくぐってすぐに左折、道なり右に進みながら25AのインターチェンジからH1に合流する。過去ノースへ2回、ワイケレへ1回。これで4回目のH1フリーウェイになる。
 慣れたものだとはいいつつ、慎重に慎重に車線を選ぶ。なにせ片側5車線もある。それぞれの車線に車がいっぱいで、60マイル、100キロで飛ばしていくのだ。一つでも分岐しそこなうと、エアポートが遠ざかってしまう。
 リケリケハイウェイへの分岐を越してまもなく、エアポートへの分岐点が見えてくる。右側2車線が空港、左側3車線が78号線でアイエア方面へ。地図のうえで何度もイメージトレーニングし、失敗1回、成功2回の予行練習も済ませた道だ。右車線に寄る。

 右へ分岐した道は78号線の上をまたぐように左にカーブし、空港への道をすすんでいく。
 空港近辺だからだろうか、高層ビルがない。見晴らしのいい景色が広がる。その中にひときわ高く目立つ建物がある。壁全体にクリスチャンラッセンの絵が描いてある。ハワイの海を背景に、クジラが大きくジャンプしている構図だ。ブルー系でまとめられたその壁画が見えると、ハワイとの別れが近づいてきたことを実感する。

 「レンタカー返却」の赤い表示にしたがって走る。返却場所に進入。あと少しでセーフティドライブが貫徹できる。「ハーツ」をさがす。エイビス、ダラー、バジェット...ない。ハーツがない。そのまま出口まで来てしまった。

「さっきハーツあったわよ」
「ウッソー!」
「なんで曲がらないのかと思ってた」
「あったかなー、見えなかった」
「一番最初にあったわよ」

 99歩目まできて、最後の1歩を踏み外してしまった。やりなおし。ふたたび空港周辺の周回道路へ出てぐるっとまわり、レンタカー返却場所の入り口に戻る。戻れてよかった。
 入って最初のゲート。左の表示ばかり見ていたが、右に「ハーツ」と書いてあるではないか。

 お世話になった“escape”ともこれでお別れ。走行距離、6日間で300マイル480キロ。左ハンドル右側走行の国で、よくもまあ無事ですごせたものだ。

 空港までのピックアップバスを待つあいだ、書類のチェックをしている係員にたずねた。

「この車はCクラス、ミッドサイズですか?」
「いいえ、もっと大きいでしょう。3ランクくらいアップグレードしてますよ」
「では、ミッドサイズはどのくらいの車ですか?」
「こちらにあるクラスですね」


 そんなことも知らずに乗っていたおめでたい“ひげ一家”であった。2001年モデルの真っ赤なフォードエスケイプ、乗り心地は抜群だった。
(任意保険が1日9.95ドルに税金が11.14ドル、ほかにヴィークルフィー19.86ドルにコンセッションフィー24.31ドル──この2つはなんだかわからない──あわせて115ドルほどがチャージされていた。日本で購入した7日分のクーポンとあわせて約4万円になってしまった)


 ホノルル国際空港、チャイナエアラインのチェックインカウンターに並ぶ。荷物を預け、所持品検査を通過し、待合へ。
 ほっとしておなかがすいてきた。スナックバーで軽い朝食をとる。
 ハーツのレンタカークーポンの冊子に、ホノルル空港での飲食20%オフのチケットがついている。それを利用し、ターキーサンドイッチ、シナモンロール、コーヒー、ペプシ、チョコアイスをオーダー。朝からアイスを食べているのはだれだ。


 ホノルル発羽田行きCI−017便。ほぼ満席で、定刻より30分ほど遅れて離陸。
 羽田への予定飛行時間は8時間20分。羽田→ホノルルよりも2時間よけいにかかる。中国大陸から吹いてくる偏西風(ジェット気流)の影響だ。機内の表示を見ていると、時速250キロもの風速になることもしばしば。往路は時速900キロ近い飛行速度が、帰路は600キロ台におちることもある。強烈な向かい風に抗して、CI機は羽田をめざす。

 8時間といえば、通常の勤務時間を始めから終わりまでずっと座席についたまますごすのと同じになる。「エコノミー症候群」が取りざたされるのもうなずける。
 機内食が2回に映画上映が2本。読書2冊と昼寝をはさんで時間をすごす。

「この飛行機は、あと20分で東京羽田国際空港に着陸いたします。現地からの最新の情報によりますと、天候は雨、気温3度...」

 機内にどよめきが走る。それはそうだ。気温20度の国から気温3度の国へ。半袖短パンの国からセーター長ズボンの国へ、冷房の国から暖房の国へ。

 午後1時半、雨の羽田空港に着陸。帰国手続きをすませ、自宅にむかう。湘南地方は、雨が雪に変わってきた。満開近くなって足踏みしている桜に、季節はずれの雪がからみあうように舞っていた。

web『たまてばこ』 No.163 2001-04-01-Sun


拾遺

オアフの風2001〜10

 持って行ったドルは200だけ。どのガイドブックにも、
「多額の現金は持ち歩かないように」
と書いてある。あとの生活費はすべてクレジットカードで済んでしまう。ファーストフード店もクレジットOKのところが多い。みごとなまでのカード社会。

 もし現金が必要になったときにはどうするか。シティバンクのワールドキャッシュカードを用意しておいた。
 このカード、日本で入金しておいた円を、その金額の範囲内で現地通貨で引き出すことができる。引き出した時間の為替レート+2円ほどが換金レート。それにATMの手数料が1ドル(シティバンク以外のATMからだとそのほかに1〜2ドルほどの手数料がかかる)。 残金(日本円)の日本での精算には手数料はいっさいかからない。
 日本円をドルに交換してハワイに持って行き、残ったドルを戻ってから日本円に換金する──このやり方だと手数料が2回かかることになる。ワールドキャッシュなら、必要な金額だけ引き出し、手数料もそのぶんだけしかかからない。
 カードの中に財布が入っているようなもの。安心安全便利なカードである。


 滞在3日がすぎ、手持ちの現金が残り少なくなってきた。初めてノースへ行くのにキャッシュを補充しておこう。ワールドキャッシュカードの出番である(じっさいには“田舎”のノースもカード社会だった。現金で支払ったのはマツモトのシェイブアイス2個ぶん2ドル40セントだけ)。
 カードをポケットに、朝9時前、さっそうと出かけて行っ...どこへ行けばいいのだっけ?

 昨年のハワイで初めてこのカードを利用したときは、シティバンクATMの所在地を記した説明書を持参していた。それを見て、カハラモールで両替したのだった。
 しかし、これからノースへ行くというのに、わざわざカハラへ行くこともない。滞在ホテル近辺にないだろうか。
 その説明書「ご利用ガイド」をハワイに持ってくるのを忘れたので、フロントで尋ねてみた。

「おはようございます。おたずねしたいことがあって」
「おはようございます。なんでしょう」
「シティバンクのATMがこの近くにありますか? このカードなんですが」
「そこの通りを曲がって少し行ったところにありますよ」
「ありがとう」


 行ってみると、バンクオブハワイだったかファーストハワイアンバンクだったかの支店があり、ATMが並んでいる。窓口は開店前。
 機械にカードを差し込むと、“ENTER YOUR PIN”ときたもんだ。“PIN”とは何ぞや。
 最初に聞いてくるのはおそらく暗証番号だろう。4桁の数字を押すと、
「****」
画面にアスタリスクが4つ表示された。よかった、あってた。
(PIN=Personal ID Number だと、あとで知った)

 続いて取引内容の選択になるはず。いくつかの単語が並んでいるが、見知った単語は“WITHDRAW”だけ。これがたぶん「引き出し」だろう。えいっ。クリア。次の画面にうつる。正解のボタンをさがすゲームをしているようだ。

 2面クリアしたが、さてこのあとが続かない。金額を入力するも、「“PIN”が間違っています、やりなおしてください」と最初の画面に戻されてしまう。別の暗証番号もとっさには思いつかない。
 しかたなくゲームオーバー。カードをしまい、あきらめてホテルに戻った。

 さあ、たいへん。ドルの現金が引き出せない。ワールドキャッシュカードという財布があって、ウン万円が中に入っているけれど、財布の口が開かない。そんな状態だ。滞在中何度目かのアセリモードに突入。

「両替屋さんがあるでしょう。そこで取り替えれば?」

 “ひめ”の一声。そうだ、日本円を現金で持ってきていたんだ。その手があったではないか。
 ガイドブックを調べると、民間の両替所のレートがいちばんいい、手数料もかからない、ロイヤルハワイアン通りに数軒並んでいる、と書いてある。
 ロイヤルハワイアン通りとは、ラナイから見下ろしたところの通り、ホテルの脇だ。そう言えば、むかいの店に大きな「両替」の看板がかかっている。

「そんなことも気がつかなかったの」
 “ひめ”の冷たい視線を感じながら、日本語ペラペラのおじさん(日本人かもしれない)に1万円分の両替をしてもらった。交換レートは124円(前日の為替レートが123円なので、プラス1円)。
 かくして80ドル65セントの現金を手にすることができたのであった。

 帰宅してからワールドキャッシュカードの「ご利用ガイド」を読み直した。“PIN”も“WITHDRAW”もその他の単語も、「利用時に知っておくと便利な英単語」という一覧にぜんぶ載っていた。ガイドを忘れたのがいけなかった。

 ついでに書いておくと、ワイキキで“ひげ”が打ち込んだ“PIN”が間違っていた。帰国後、別の“PIN”を使って精算することができた。おさわがせいたしました。


 インターネットをホテルの部屋から。PCの設定は完璧だった。電話代が心配だった。あまり調べないまま、「公衆電話は島内へは1通話35セント」という情報だけをたよりに、初日からバンバン使い始めた。

 数日たつうちに心配になってきた。部屋からの外線電話はかなりのマージンをとるのではないか。公衆電話とは違い、従量制(使った時間によって課金されるの)ではないか...。
 「オアフの風」本編のほうはメモ帳に下書きしてからUPするので問題ないが、アルバムのほうは1ページ6枚の写真をUPして解説をつけるのに30分ほどかかる。もしかするとチェックアウトのときに多額のチャージがされるのではないか。
 アクセスしている時間が問題か、アクセスする回数が問題か。フロントで尋ねる英語力には自信がないまま、日がたっていく。優柔不断な“ひげ”であった。

 5日目の夕食を宇井さんとごいっしょしたおり、疑問を解くべく、ハワイの電話事情について教えていただいた。(会話は日本語、念のため)

「公衆電話は、島内あてなら1通話35セントですよ」
「1通話ということは?」
「切らなければずっとということです」
「それでは、ホテルの部屋からは?」
「マージンを上乗せするでしょうから、70から80セントくらいではないでしょうか」
「それも1通話あたりですか?」
「そうですよ」
「ということは、1回つなげて切らなければ、70か80でずっと使えるのですか?」
「そうじゃないでしょうか」
「よかったー、時間じゃないんだ」
「家庭の電話はもっとお得で、1か月2500円くらいで使い放題ですよ」

 IT先進国というのはこういう国のことを言うのだろう。3分8.5円だ、いや8.4円だというケチな商売をしているようでは、追いつけるべくもない。

 けっきょく、このホテルの電話代は島内への1通話が99セント。ぜんぶで21回のアクセスと宇井さんへの電話2回、計23回分をチャージされることになった。
 次はもっと賢く使うぞ、インターネット!


 左ハンドル右側通行。少しでも気をぬくと、左車線に入ってしまいそうになる。
「右折は小回り、左折は大回り」
 ガイドブックにも“おまじない”のことばが書いてある。

 反対車線に入ったのは7日間で3回。初日、カハラモールの駐車場にて、2日目、ダイヤモンドヘッドへの進入道路で、そして6日目、ノースショアマーケットプレイス駐車場への進入道路で。
 そうだ、もう1回あった。2日目の朝、ホテルの駐車場から初めて出庫するときに、誘導路のしくみがわからず一方通行を逆走したのだった。
 どれも徐行中。大事にいたらずにすんでよかった。

 それよりも頻繁に起きたのがワイパーの誤作動。
 右折、左折のときにウィンカーを出す。そのレバーがハンドルの左側、日本車でいうワイパーの位置にある。反対に、日本車のウィンカーのあるところのレバーがワイパーになっている。

 左折(日本でいう右折)するぞとウィンカーを出したつもりが、なぜかフロントガラスをワイパーが往復している。ついつい右手でワイパーのレバーを動かしてしまうのだ。
 7日間300マイル480キロ、とうとう最後まで慣れることができなかった。


 左ハンドル右側通行のほかに、日本とは大きく違う交通システムが2つある。

 一つは、赤信号でも右折(日本での左折)してよいこと。左側からの車の安全を確認し歩行者の横断を妨げなければ、直進方向の信号が赤でも交差点に進入して右折してよいのだ(例外の交差点もある)。
 このクセを日本で出してしまうと、信号無視で減点まちがいなし!

 もう一つは、左折(日本での右折)の信号が先に青になること。日本では、十字路の交差点で右折をするとき、直進方向の青が終わってから右→が青になり、右折が優先される。しかし、対面の直進車がいつまでも途切れず、右折しそこなうことも多々ある。
 ハワイ(というかアメリカ)では、直進方向の左折←(日本の右折)信号がまず青になる。対面の直進車は赤のまま。ぜったいに進んでこない。これならば安心して左折することができる。

 この二つ、経験してみてその合理性を実感することができた。


「レンタカーを借りたら、傷がないかたしかめること」
 これもガイドブックの注意書き。しかし、(アップグレードされていた)真っ赤なフォードの大型新車を見て舞いあがった“ひげ一家”、そんな余裕もなく空港を出てホテルにむかってしまった。

 2日目、右前のドアに小さな傷を発見。ホテル駐車場の出し入れ、カハラモールとアラモアナSCへの往復と駐車。これまでの運転をふりかえっても、こんな傷をつけた覚えはない。けっして“ひげ”ではない。最初からあったものか、だれかにぶつけられたものか、どちらかにちがいない。
 しかし、それが証明できるだろうか。返却のときに何と言えばいいのだろう。修理代を請求されたらどうしよう。なにせフォードの新車だから。不安なまま日がすぎていく。

 帰国の朝、2周目でようやくハーツの返却所に入ることができた(第7章参照)。
 車のチェックをされたときに言おうと考えていたことばを、何度もなんども心の中でくりかえして係員と対面した。

「レンタルの書類をください」
「はい、これです」
「今の走行距離、何マイルになっていますか?」
「509です」
「オーケー、ぜんぶで115.01ドル、レシートのとおりです」
「クレジットカードがいりますか?」
「必要ありません。おしまいです」
「キーはどうしますか?」
「つけておいてください」


 車のチェックなし。追加精算もなし。なにもなし。あっけない結末だった。あの程度の傷は車両保険に含まれているということか。傷を見るたびに不安になっていたこの5日間を返してくれ! 
(帰国して時間がたってから修理代の請求書が送られてきたりして...)

web『たまてばこ』 No.164 2001-04-02-Mon


終章

オアフの風2001〜11

 書店でハワイ関係の本をさがす。ガイドブックなど何種類も出ていて、どれを選んだらよいか困ってしまう。“ひげ”もそうだった。
 使う人によって知りたい情報が違うから、おなじ本でも「役に立った」という人もいるし「使えない」という人もいる。
 だれかに尋ねても、けっきょくは「自分にあったガイドブックを探してください」ということになる。これは何もアドバイスしていないのと同じ。

 今回のハワイ旅行で“ひげ”が重宝した本をご紹介する。「ハワイ初心者から抜け出したレベルの、英会話にはあまり自信がなく、家族を連れての個人手配旅行者」が対象。そういう方にはかなり役立つと思う。それ以外の方には、あくまでご参考までということで。

 リュックに入れてじっさいに持って行ったのは次の2冊。

 『わがまま歩き 4 ハワイ』(実業之日本社 2000年12月改訂3版 1640円)

 『マヌー式ハワイ旅行会話術』(山下マヌー著 旺文社 1999年8月初版 950円)


 『わがまま歩き〜』はいわゆるガイドブック。各国別、地域別、シチュエーション別に数社から数十種類のシリーズが出ている中で、これは「ブルーガイド」版。国内旅行のガイドブックでは大手だ。

 平積みにされている多数のガイドの中で、「海外自由旅行の道具箱」という副題にひかれてこの本を手にとった。
 ほかのガイドではなくこれを買った理由はただ一つ、「ガソリンの入れ方」が2ページ、カラー写真つきでていねいに解説されていたこと。何冊かをくらべた中で、もっともわかりやすかった。初のレンタカー体験なので、不安を解消するのにもっともよい本だった。
(じっさいには本のとおりにはいかなかったが、基本形を写真で知っていたので心強かった)
 切り取り式の地図、レンタカー契約書の書き方、旅行会話のページも役立った。それ以外のショッピングやグルメ、ホテル、アクティヴィティの情報はどのガイドも大差ない。

 山下マヌー──ハワイフリークなら決して欠かすことのできない人である。「金はあるが金にはうるさい」をモットーに、海外個人旅行のガイドブック、裏技集など、数々の本を書いている。

 ここにあげた『〜会話術』はただの英会話文例集ではない。「業界史上初! オンリー・ハワイ・ユース」と帯にあるとおり、ハワイに行って帰ってくるまでの状況別に英文が紹介されている。

「チェックインまで荷物をあずかってください」
「ビーチタオルをください」
「カードで払いたいんですけど」
「クーポン券があるんですけど、使えますか」


 うーん、ハワイでなくても使えそうな会話もあるけれど、ハワイならかならず必要になる会話であることはたしか。かさばる本ではないので、いつでもリュックに入れておくと安心だ。

 マヌーさんの本を読むと、個人手配旅行(海外自由旅行と同義)がかんたんにできるような気がしてくる。“その気”にさせてくれた本はほかにもある。以下のとおり。

 『海外個人旅行 得 マニュアル』(小学館 1996年3月初版 1068円)
 『ハワイ個人旅行 得 マニュアル』(小学館 1996年12月初版 1068円)
 『海外旅行お助け便利帳』(三笠書房王様文庫 2000年1月初版 495円)



 “ひめ”が持って行ったのは『別冊JJ ハワイブック・4』。 この雑誌の付録についている『ハワイマップ』という地図が重宝した。本誌のブランド&グルメ関係は“ひげ”にはあまり...。


 地図といえば、ハワイの地図は使いにくい。どれを見ても一長一短がある。この道路地図1冊ですべてOKというものに出会ったことがない。
 軍事上の問題で、日本のような精密な地図をつくってはいけないとどこかで聞いたこともある。真偽のほどはたしかではないが。

 レンタカーで出かけるときには、いつも地図(の載った本)を4種類は持ち込んでいた。『わがまま歩き〜』の切り取り地図、『別冊JJ』の付録の地図、ハーツでもらった“Oahu Drive Guide”──これは英語版で無料、そして『旅のガイド ハワイ』という同じくフリーペーパー。
 ノースへはこの地図、ワイケレ付近はこの本、空港へのフリーウェイは別の本、というように、行き先別に詳しいところを選び、使い分けていた。道路地図にはかなり苦労した。


 ここまで書いたので、あと何冊か“その気”になるハワイ本を。

 『ハワイ旅行の女王様』(河野比呂著 光文社文庫 1998年6月初版 438円)
 『おじさんハワイひとり旅』(辻村裕治著 光文社文庫 1999年5月初版 457円)
 『超絶ハワイ術』(野田貢次著 光文社文庫 1999年8月初版 476円)
 『超絶ハワイ術 もっとアロハ編』(野田貢次著 光文社文庫 2000年8月初版 590円)
 『子連れハワイ大旅行術』(安田裕子著 光文社知恵の森文庫 2000年12月初版 495円)


 最後の『子連れ〜』は、今回のホテルを手配していただいた「UI TRAVEL」さんを直接知るきっかけになった本。ホテル・コンドミニアムを50%オフで予約できる旅行社をみつけ、そこを利用したという記述があった。URLが記載されていたので、さっそくアクセスして、あとはとんとん拍子。


 こう並べてみると、光文社の文庫編集部には熱狂的なハワイフリークがいるように思えてくる。上にあげた5冊、どれも一読すると「あー、また行きたいな」という気分にさせてくれる本ばかり。もちろんじっさいに役に立つこともたくさん書かれている。
 どうでもいいことだけれど、『JJ』の出版も光文社だ。

 他の文庫にもハワイ本があって書店に並ぶたびに買って読んでいるが、光文社版のようなワクワク感がない。二番煎じであったり、あまりにマニアックであったり。“ひげ”とニーズが違うだけだとは思うが。


 あと1冊あげるとすれば、『オアフの風』かな。出版予定はいまのところないけれど...。

「オアフの風」完

web『たまてばこ』 No.165 2001-04-03-Tue


おまけ

オアフの風2001〜12

 カハラモールのフードコートで、まるごとのチキンがローストされていた。何羽もぶらさがって。
 それを見たKANAが叫んだ。

「あ、カエルだ」

 そうなんだ、ハワイのカエルは大きいんだ。


 テレビでホエールウォッチングの場面があった。クジラの尾を見たTAKUが、
「あれ、つの?」
とたずねた。
「つのなんかないよ」
にKANAがつけくわえたひとこと。

「イルカはあるよ」

 そうなんだ、ハワイのイルカはこちらが頭なんだ。


 ホノルル空港に駐機している小型の飛行機を見て、
「あの飛行機はどこへ行くの?」
 TAKUの質問に“ひめ”が答えた。
「近くの島に行くのよ。ハワイ島とかマウイ島とか」

「じゃあ、日本は?」
 TAKUの質問にKANAが答えた。

「トウキョウトー」

 そうなんだ...。


 「新作で日本未入荷」という呪文にかかってしまった“ひめ”、一縷の期待を胸に最後の2日間、夕方の5時をすぎると Louis Vuitton に出かけて行った。

 が、店員の反応は冷たく、
「品切れでございます」
 夢は無残にも打ち砕かれてしまった。

 ハワイの友『別冊JJ ハワイブック』にこんなコピーを見つけた。

ハワイ滞在中のお約束「毎日欠かさずブランド詣で」

ハワイの醍醐味はお買い物。あなたがビーチにいる間に、ブランドショップではレア物がなくなっていきます!


 あのときためらわずに買っておけばよかった。“ひめ”のため息は帰国後もつづく。

web『たまてばこ』 No.166 2001-04-04-Wed