とっぷぺーじ

since 2000.10.07.
おふぃす
ひげうさぎ WHO?
お役立ちリンク
出席簿
濫読の記
ひげうさぎの本
∇よみもの
webたまてばこ
小学生の日記教室
頭の体操
図書室
メールマガジン

∇アルバム
こどもたち
図工作品集
ひめの部屋
「湘南」
∇オアフの風
写真集&旅行記
∇ひろば
うさぎの黒板
こどもの黒板
おえかき黒板
ついったー
めーる
メールはこちら



web『たまてばこ』特集

オアフの風2002

ひげファミリー“海外個人旅行”2年目の記録



     





↓ click! ↓
【ハワイ壁紙】【UI TRAVEL】
「お役立ちリンク」から「はわい」へ


ハワイバージョン

オアフの風2002〜0

 3月に入ってすぐ、4か月ぶりに髪を切った。
 前回かなり短くしたとはいえ、さすがに4か月もたつとぼさぼさに伸びきってしまう。カラーリング業界の陰謀(→ No.223 参照)にはまった黒白茶のまだら三毛猫状態も目立ってきていた。

「バッサリやってください。20日に卒業式があるんで、すっきりと...」
「わかりました。じゃあ、バッサリと」

 気持ちよく順調にカットがすすんでいるところへ、美容師さんの声。

「このまま終わったら、まったく韓国人ですねー。ハッハッハッ」

 前髪と横髪はバッサリなのに後ろ髪はノーカット。大鏡の中の“ひげ”はたしかにコリアンの若者だった。
 それにしても、ハッハッハッとは...。

「春休み、どこか行くんですか?」
「あ、まあ、いつもの“里帰り”を」
「え、“里帰り”ってことは、またハワイですか?」
「はい、行くんですよ」
「いいですねー」
「でもね、夏も冬もほかにはどこも行かず、1年間じっとしてるから...」

 アッシュ系茶色のカラーリングも順調にすすみ、しあげの洗髪、ドライヤー、セット、そして鏡で確認。

「はい、いかがでしょう」
「ありがとう、すっきりしました。卒業式はこれでスーツを着て...」
「じつは卒業式バージョンじゃないんですよ」
「は?」
「ハワイって聞かなければもう少し長く残しておいたんですけどね、聞いちゃったからうんとバッサリしました。ハワイバージョンです!」

 どうりでいつもよりも短いと思った。
 それにしても、ハワイバージョンとは...。

 あれから3週間、ほどよく伸びた髪はまさにハワイバージョン。これでサングラスでもかけたら、また“現地の人”と間違われるかもしれないな (^^;


 今日、出かけます。PCを持っていくので、メールもHPもつながる予定。
 では...アローハー (^m^)/~~~

web『たまてばこ』 No.313 2003-03-27-Wed


ウメかサクラか

オアフの風2002〜1

 羽田空港を循環するワンコインバスに乗り、国際線ターミナルへむかう。春休みオアフ旅行のスタートである。

 羽田の国際線は2002年4月17日までは中華航空(チャイナエアライン)専用となっている。だから、満員のバスの乗客のほとんどが今夜のCI−018便でいっしょにホノルルに飛ぶ仲間というわけだ。春休みということもあって、“ひげファミリー”のような家族連れと、若者のグループがほとんどである。

「ほらほら、見てー、ねー、あれウメだよねー」

 後ろの席から声が聞こえてきた。大きな荷物をかかえているのでふりむくことができないが、声の調子から判断して“ギャル”のようだ。

「えー、ちがうよー、サクラじゃないのー?」
「サクラー? そうかなー。でもウメもなんかちがうんじゃない?」

 相方が答え、ギャルその3もくわわってしばらくウメ・サクラ論争がつづく。なんのことを話しているのだろう。

 バスが大きくカーブした。国際線ターミナルが見えてくる。駐機している飛行機も目に入った。見慣れぬ尾翼のデザインだが、中華航空機のはずだ。塗りかえたのだろうか。1年ぶりにくると変わっていることがいくつもある。モチーフはハイビスカスのようだけれど...ハイビスカス?
 そうか、これか!

「ギャルのみなさん、あの尾翼にデザインされているのは、花弁はたしかに5枚だけれどウメでもサクラでもありません。南国のシンボル、ハワイ州の州花、ハイビスカスですよ!」

 などと声に出して言ったわけではもちろんない。これから始まるおそらく初めての海外旅行だろう、楽しみにしているところへ水を差すこともなかろう。

 そんなことを思われていると知ってか知らずか、ターミナルに到着したバスからさっそうと降り立った3ギャルご一行様──図鑑から抜けだしたような茶パツガングロ系の女の子だった──、大きな声でこう叫んだ。

「アローハー!」

 おいおい、ここはまだ羽田だぞ。
 

 2002年3月27日〜4月3日におとずれたオアフ島旅行記「オアフの風2002」を(今ごろになって)連載する。

 昨年の旅行記「オアフの風2001」(⇒ こちら )は、初挑戦の海外個人旅行ということもあって、出発前の準備から帰宅まで日を追って順に記述していった。今回はそうではなく、旅行中のできごとをランダムにとりあげるエピソード集というスタイルで書いてみたい。
 連載10回くらいの予定。気長におつきあいください。

web『たまてばこ』 No.328 2002-09-13-Fri


アップグレード

オアフの風2002〜2

 ハーツのドライビングクーポンを出発前に日本で購入しておいた。契約条件や必要事項が日本語で書いてあり、レンタカー初心者にはありがたい。住所氏名、免許証番号、保険加入の有無を事前に記入しておけば、現地のデスクで手続きをするときにこまかい内容を英語でやりとりしなくてすむ。

 予約したのはFクラス=フルサイズの4ドアで、ウィークリー(5〜7日間)のレンタル料金が34900円。昨年より2割以上も高い。円安のせいだろうか。
 さがせばいい車をもっと安く借りられるかもしれないが、日本にいるあいだに日本語で手続きができてしまう便利さにはかえられない。

 ハーツを選んだのは、昨年のアップグレードの思い出がちらちらと浮かんできたせいもある。予約しておいたCクラス=ミディアムサイズの4ドアが、なぜかフォードの4WDRV“escape”に変身していた。それも真っ赤な新車、距離計は200マイルを少し越したばかりだった。
 初めて海外でレンタカーに乗る日本人にこんな車を貸してしまっていいのか、太っ腹ハーツ! と感心するやら驚くやらのたのしい記憶である。
 あとで調べると、この車はLクラスでクーポンで予約したクラスの3階級特進、正規料金にすると1.5倍というアップグレードだった。


 ホノルル国際空港のハーツレンタカー事務所にいたのは、いかにも事務職員といった感じの大柄な白人男性。前の人とのやりとりを聞いて(正しくは“見て”)いると、あまり愛想がいいとはいえない。
 順番がまわってきた。

「おはようございます。レンタカーを借りたいのですが、これがクーポンです」

 英語がスラスラと出てきた。頭の中で何度も練習しておいた成果である。調子いいぞ。
 クーポンを出すと、彼はだまって受けとりコンピューターになにやら打ちこんでいく。クーポンは日本語併記だが、やがてプリントアウトされた正式な書類は当然のことすべて英語で書かれている。それを見せられ、ゴチャゴチャッと説明され、ゴチャゴチャッと指示される。
 う〜ん、わからん。これは予習していない。

 ニコニコしながらすべて“yes”で通そうと思ったが、ペンを持って何か催促してくる。どうやら○をつけた場所を読み、その内容で了解したというサインをしろと言っているらしい。

「サインは日本語でいいですか?」
「私は日本語が読めません。イニシャルを書いてください」


 冗談で言ったつもりが、まじめにとられてしまった。どうも雰囲気がよろしくない。今年はアップグレードなど望めそうもない雲行きだ。
 鍵を渡され、その先、D−20に停まっている車だと言われた。ふりむいて見るが、真っ赤なescapeは見あたらない。それらしいRVもない。
 それでも、念のために尋ねてみた。

「何色の車ですか?」
「シルバーだね」


 シルバーのRV...見たことないなぁ。ハーツの事務所に2匹目のドジョウはいなかった。

web『たまてばこ』 No.329 2002-09-17-Tue


メカチェック

オアフの風2002〜3

 車はフォードのグランプリだった。アップグレードされていないとはいえ、アメ車のフルサイズだ。排気量も3リットルはあるだろう。おまけに2002年式で走行距離207マイルのこれまたピッカピカの新車。4人家族がオアフ島で1週間行動するにはじゅうぶんな車である。

 荷物をトランクに詰めこみ、運転席に腰かける。もちろん左ハンドルだ。
 恒例の(と言っても2度目だけど)メカチェックを始める。キーを差し、アクセサリ、オン。ギアの位置、ウィンカーレバー、ワイパーレバー...。

 あれ? レバーがハンドルの左側に1本しかない。
 右ハンドルの日本車なら、右がウィンカーで左がワイパーだ。左ハンドルのアメ車はその逆で、左がウィンカー、右がワイパーのはず。昨年はこれがややこしくていつまでも慣れることができず、右左折するときにフロントガラスを拭いてしまったことが何度も何度もあった。

 ところが、この車にはレバーが1本だけ。ハンドルの左についているからウィンカーのはずだ。動かしてみるとたしかにウィンカーがチカチカする。
 それならワイパーはどこにあるのだろう。

 さがしてみると、あったあった。ウィンカーレバーの先に窓拭きマークがついている。ひねってみるとワイパーが...動いた!
 これなら誤作動の心配はない。

 ワイパー問題が解決したので、前照灯問題にうつる。
 ふつうならウィンカーレバーの先をひねるとヘッドライトがつく。しかしこの車はそれがワイパー作動用スイッチに変わってしまっている。ライトオンのスイッチはどこへいってしまったのか。

 この問題はエンジンを始動させギアを入れたときに解決した。ギアをドライブにセットすると、ライトが勝手に点灯したのである。ついでにドアもロックされてしまう。昼夜にかかわらず走行中は点灯、ロック忘れの心配もなし。さすがアメリカ、安全確保に死角なしといったところか...それだけ物騒なのかもしれない。

 ほかにもドアロックの解除、パワーウィンドウ、ドアミラー、座席の調節、室内灯、エアコン、CD&ラジオなどなど、レンタカー初心者によるメカチェックの項目は多岐にわたる。新車を届けにきたディーラーが、車を置いてすぐに帰ってしまった状態だと思えばいい。走り出してから「あれ、どうやって動かすの?」なんてことになったら目もあてられない。

 ようやくふんぎりがつき、あらためて運転席に腰かける。深呼吸をし、ワイキキまでの地図をたしかめ、深呼吸をし、メガネのレンズをぬぐい、深呼吸をし、シートベルトを締め、深呼吸をし、「右側通行、右折小回り左折大回り」とつぶやき、深呼吸をし、ギアをドライブに入れ、深呼吸をし、アクセルを踏む。
 2度目のオアフ島ドライブがこうしてスタートした。


 習うより慣れろとはよく言ったものだ。
 発進するまでの神経質なまでの“チェック症候群”はどこへやら。ニミッツハイウェイに出るころには右側通行も赤信号右折OKも信号左折優先も1年前の感覚がもどり(かっこいい!)、滞在中はショッピングセンターはもちろん、ノースへ、タンタラスの丘へと家族を乗せて島内を縦横に走りまわることになる。
(あまりにも慣れすぎて、帰国してから右側車線を走行しそうになったことが何度もあったりして...)

 7日間の走行距離144マイル。さすがアメ車のフルサイズだ。吹きあがりも加速もひじょうに快適な車だった。


 レンタカー料金のことを書いておきたい。

 クーポンにはデイリーとウィークリーの2種類がある。Fクラスのデイリー料金は7900円だから、6泊8日の日程ならウィークリークーポン34900円のほうが4割ちかく安い。
(ちなみに、今回はエアチケットを手配した旅行代理店のセットサービスがあって、定価の1割引きでクーポンを購入できた。念のために書いておくと、日本の消費税は課税されない)

 ただし、この金額だけで車が借りられると思ったら大間違い。税金など強制的なもの、追加保険など任意のものまとめて返却時にバンバンと加算され、最終的に精算された追加料金がなんと149.45ドルにもなっていた。

 9. 料金には税金、任意保険、ガソリン代、空港施設使用料などの追加料金は含まれません。

 などと日本語の注意書きはあるが、それがじっさいにどのくらいの金額になるか事前にはまったくわからない。けっきょくトータルで5万円近い出費になってしまった。

 それでもレンタカーは便利であり、現地での行動の自由度にはかえられない。英語を勉強して、もっと安く借りる方法を研究しなければ。

 参考のために追加料金149.45ドルの内訳を書いておく。

CONCESSION FEE RECOVERY(空港使用料) 28.64(10%) 強制
LIS(追加自動車損害賠償保険) 59.70(9.95/day) 任意
FPO(ガソリン代先払い制度) 26.95 任意
TX(州税) 14.24(4.166%) 強制
VEH LIC FEE(レンタカー税) 19.92(3.32/day) 強制

web『たまてばこ』 No.330 2002-09-21-Sat


ハワイアンジュエリー

オアフの風2002〜4

 インターナショナルマーケットプレイスあたりを歩いていると、下手くそなカタカナで「ハワイアンジュエリー」と書いた看板をよく見かける。白熱灯にギラギラと(けっしてキラキラとではない)にぶい光をはなつ金のブレス、リング、ネックレス...。どう見ても高級品とはいえない。駅前商店街の宝石店が一年中やっている1000円均一セールのような品揃えだ。わざわざ「ハワイアンジュエリー」と銘打つほどのこともない。

 “ひげ”の「ハワイアンジュエリー」にたいする認識はこんなものだった。おそらくおおかたの日本人旅行者も似たり寄ったりだろう。

 ところが“ここ”は違うらしい。老舗、高品質、唯一のジュエラー、最高峰、第一人者、と書きならべられた最高級の形容詞もまんざら誇張ではないようだ。

 ここ──フィリップ・リカード・ホノルル。知る人ぞ知るハワイアンジュエリーの最高級ブランドである。

 ものの本によると...。

 ハワイアンジュエリーにはルーツとされる二つのブレスがある。HOOMANAOMAU(ホオマナオ・マウ=永遠の思い出)と ALOHA OE(アロハ・オエ)と呼ばれるブレスで、どちらもハワイ王朝最後の統治者であるリリウオカラニ女王ゆかりの品、王室を象徴するジュエリーと言われている。
 そのレプリカ制作を許されている唯一のジュエラーこそ、かのフィリップ・リカードなのだそうだ。それだけの技術と品質、そして伝統への思い入れが他のジュエラーの追随を許さない、らしい。


 ロイヤルハワイアンショッピングセンターの3Fにあるというフィリップ・リカード・ホノルルの本店をさがしに行った。工房がついていて、見学もできるようだ。

 カラカウア大通りに面したこのSCは、超有名ブランドが入っている1Fこそ賑わいを見せているが、2階、3階とあがるにつれて観光客の姿が減っていく。焼肉レストランには客がほとんど入っていない(真っ昼間から焼肉でもないか)し、3枚10ドルくらいのTシャツを売るワゴンには店員すらいない。
 少ないのは人だけはない。パンフレットにのっているショップなのになぜか店じまいしているところが目につく。ワイキキのどまんなかにあるSCとは思えないほどのさびれようだ。むかい側のインターナショナルマーケットプレイスとは大違いである。
(この8月、ハロプロの情報発信ショップ「ハロー!プロジェクト・インフォメーション・ビレッジ」が3階にできたので、いまはようすが変わっているかもしれない)

 行ったり来たりしながら通りすぎてしまいそうになったところで、フィリップ・リカード・ホノルルを見つけた。
 いかにも高級宝石店という感じのゆったりとした店がまえ。間口だけなら3店ぶんくらいはありそうだ。ただ、あまり奥行きがないので細長く感じる。ショールームの奥はガラス張りになっていて、たしかに工房が見える。

 “ひげファミリー”以外の客はいない。ワイキキに到着した日の午後ということもあって、KANAもTAKUも来客用のソファでぐったりしている。

 ニ十年くらい前に辻堂団地(とっても身近!)に住んでいたという女性店員が、これまで何百回もくりかえしたであろう口上を早口でまくしたててくる。

「このリング、持ってみて。重いでしょう。ふつうの2倍以上の金を使って、厚くつくっているの。
 エナメルで文字を入れるんだけど、お値段の安いところはプラスチックのエナメルなのね。でも、うちのはグラスエナメルだから、絶対に色が落ちたり変わったりしない。七宝焼と同じよ。
 お買いあげいただいた品には一生の無料保証がついているの。日本にお帰りになってからも、いつでも修理をお受けできるわ。
 ここにあるのは見本ね。すべて手作りだから、ご注文いただいてからおつくりしているのよ。いつまでハワイにいらっしゃるの? そう、それなら間にあうわね。
 お値段は少し張るけれど、一生ものですし、きっとご満足いただけますわ。
 このリーフの柄なんてどうかしら。プルメリアなんかもかわいいでしょう。ゴールドのお色はなにがいいかしら。エナメルも8色からお選びになって...」

 18Kピンクゴールドのリーフ柄マリッジリングに、ふじ色のグラスエナメルで“ひめ”の名を入れてもらうことにした。
 リングの裏の刻印は2002.3.26.──14回目の結婚記念日である。

web『たまてばこ』 No.331 2002-09-25-Wed


英語でジョーク

オアフの風2002〜5

 イースター前日のカハラモールは“春の色”セールで大にぎわいである。
 子どもむけのイベントでもやっていないかと、入り口でもらったチラシをさがしてみた。“イースターバニー写真”という見出しが読み取れたので会場のステージUに行くと、親子連れの列ができている。着ぐるみのイースターバニーと記念写真を撮り、その場でプリントアウトしてくれるサービスだった。

 キリスト教の3大祝祭の一つであるイースターには卵がつきものである。キリストの死と復活を卵から新しい生命が誕生するのになぞらえ、カラフルに彩色したイースターエッグをプレゼントする。また、隠した卵をさがして遊ぶエッグハンティングなどもおこなわれる。
 そのイースターエッグを運んでくるとされる動物がウサギで、イースターバニーと呼ばれている。

 撮影1回15ドル。安くはないが、姉弟二人いっしょに写してくれそうだ。記念に1枚と、子どもたちを列に並ばせた。
 大きなウサギに抱かれて泣き出してしまう幼い子を、両親がカメラの横で一生懸命に笑わせようとする。なんとか笑顔の写真を撮ろうとするが、泣きやまない。いずこも同じ風景だ。
 順番がまわってきた。15ドル払いながら、係の人にたずねてみた。

「ぼくも写真を撮ってもいいですか?」
「どうぞどうぞ」


 滞在4日目になると頭が英語モードに切り替わり、この程度の会話は予習なしでできるようになっている。
(などと偉そうに書いたが、ほんとうに英語が通じたのかどうか...日本人がカメラをさしてごちょごちょ言ってる、ことばはわからないけれど撮影許可を求めているのだろう、なんて親切に解釈してくれたのかもしれない)

 カメラマンが子どもたちにポーズをとらせているあいだに、デジカメのシャッターを何枚か切った。こうしておけばあとで加工できる。
 我が家の二人の子どもは泣き出すこともなく(あたりまえか)、撮影終了。レシートに名前を書きこみ、あとで取りにくるように言われた。


 フードコートのほうへ行ってみると、センターステージでバンドの演奏、その奥では子どもむけの別のイベントをやっていた。横断幕に“ホノルル警察”と書いてある。ジュニアポリスのバッジと指紋登録証(というのかな?)、それにぬり絵の交通安全ノートがもらえるようだ。
 ここにも並んだ。

 前の子を見ていると、往復はがきをひとまわり小さくしたサイズの登録証に名前と日付を書きこみ、両手の五指の指紋をスタンプしてプレゼントされている。
 指紋押捺拒否...なんてコトバが脳裏をかすめたが、それはそれ。
 つぎになぜか『踊る大捜査線』のタイトルバックがうかんできた。織田裕二扮する青島刑事の“警察写真”がパッパッと写るあの画面だ。たしか指紋の絵もはさみこまれていたような...。
(記憶に自信はない)
 逮捕されると指紋とられるんだよなと思った瞬間に、ある英語がひらめいた。

 子どもの番がきた。名前を聞かれたので答えたが、日本人の名は聞きとりにくいようだ。アルファベットを1文字ずつ区切って伝え、書いてもらった。それから指をスタンプ台にのせて黒インクをつけ、登録証の上で回転させるようにして1本ずつ指紋をつけていく。
 そのとき、腹に力を入れて言ってみた。

“You are arrested!”

 子どもの指を持っていた本物の警官が大笑いした。
 通じた! 英語で言ったジョークが通じてしまった! 正式にはこんな言い方をしないかもしれないが、意図してしゃべった英語にネイティブアメリカンが笑ってくれた!
 オアフ旅行6回目にしてこの快挙。習うより慣れろ、なんでもやってみるものだなぁ。

 バッジ、登録証、ぬり絵の3点セットをもらった子どもたちといっしょに、大柄な婦警さんが記念写真に写ってくださった。3人とも笑顔、カメラをかまえる“ひげ”もついつい頬がゆるんでしまった。

web『たまてばこ』 No.332 2002-09-29-Sun


「上手ですね」

オアフの風2002〜6

 ワード・センターの1階にあるムーミン・ショップに入ってみた。

 ムーミン・ショップ...店内これムーミン一色。スヌーピータウンのムーミン版といえばまちがいない。
 北欧フィンランドの妖精ムーミンがなぜ常夏の島ハワイに、などと考えてはいけない。“かわいい”のひとことにつきるムーミンのキャラクターグッズがところ狭しと飾られているスーベニアショップである。

 レジにいた店長さんはガイドブックに写真入りで紹介されていた人だった。おみやげを見つくろいながら、値段はいくらか、割引クーポンが使えるか、クレジットカードはOKかなどを質問していると、思いがけないことばが返ってきた。

「英語が上手ですね!」

 え、聞きまちがいでは? いや、たしかに「上手ですね」と英語で言ったような...。

──なに言ってやんでい。こちとら、自慢じゃねーが小学校5年生のときから14年も学校で英語の授業を受けてるんでい。読めはすれども会話はできず、文法できても発音苦手、典型的な日本型英語教育の犠牲者をつかまえて「上手」もへったくれもあったもんじゃねーやい。

 と言い返せたら(もちろん英語で)いいのだけれど、そんなことはできるはずもない。

 なんと答えてよいか戸惑っていると、ペラペラペラッとネイティブイングリッシュでさらに話しかけてきた。が、まったく聞き取れない。恥ずかしながら“Pardon?”とお願いするのが精一杯だった。
 気のいい店長さんは申しわけなかったという表情で、こんどはひとことひとこと単語をつぶ立たせながら話してくださった。

「英語が上手ですね。ハワイには勉強で来たのですか、それとも働きに来たのですか?」

 なんだ、そんなことか。早く言えよ。あ、言ってたか。

「いえいえ、休暇です。毎年春に来ていて、これで6回目になります。あなたこそ、日本語がとてもお上手ですよ」

 休暇で、毎年春に、6回目...これらは旅行中に何度もされる質問へのワンパターンの答えだから、脳みそにインプットされている単語をならべるだけ。値段やクーポンをたずねる“買い物英語”も、地元のショッピングセンターめぐりをしているうちに必要にせまられて身についてしまったもの。この程度は英語ができるうちには入らない。

 化けの皮がはがれた“ひげうさぎ”は、因幡の白うさぎになったのであった。


 滞在中、じつはもう一度「英語が上手ですね」と言われたことがあった。

 カラカウア通りの東の端にある「嵐(ラン=RUN)」という回転寿司&ラーメンの店で食事をしたときのこと。カウンター席をお願いしたり、寿司を注文したり、お茶をたのんだりしたのが聞こえたのだろう、レジで会計をしてくれた日系学生ふうの店員さんが(もちろんネイティブイングリッシュで)そう言ってくれたのだった。

 まぐれだとしても、二度も「上手ですね」と言われて悪い気はしない。帰国を目前に低い鼻が少しばかり高くなった“ひげ”であった。


 来春のハワイ旅行までに英会話上達をめざす!

 ハワイから帰ってくるたびにそう決心しては数か月で挫折して、を毎年くりかえしてきた。だが、今年は心がまえがちがう。なんてったって、ネイティブスピーカーに二度も「上手ですね」と言ってもらえたのだから。

 さっそく山下マヌーの英会話本を読みなおし、『ビートルズで英会話』に目を通し、スマステ!!を見て香取慎吾と張りあい、『ベラベラブック』を買ってきてトイレに置き、などして独習に励んでいるとき、ある本の記述に目がとまり、とまった目がテンになった。

「あ、そうやってほめられるのは、本当に下手なうちだけなんだ。僕も初めはそうだったけれど、生活に支障ないほど通じるようになったら、誰も何も言ってくれなくなった」

(阿川佐和子『その場しのぎの英会話』光文社・知恵の森文庫)


 カタコト英会話を自認する阿川佐和子が、1年間ワシントンDCに滞在した旅行記。半年ほどたって「サワーコ、英語、上手ですね」とほめられ気をよくしているときに、現地で生活している友だちこう言われたのだそうだ。

 そうか、ほめられているうちはまだ下手なのか。ほめられなくなるほど上達するまで、道は遠い。

web『たまてばこ』 No.333 2002-10-03-Thu


割引クーポン

オアフの風2002〜7

 道ばたに置いてあるフリーガイドを手あたりしだいにリュックにつめる。日本語バージョンも英語バージョンもとりあえずもらっておく。
 これがホノルルに到着してすぐの恒例行事になっている。

 フリーガイド収集の目的は2つ。ひとつは地図、もうひとつはクーポンである。

 クーポンを提示すると10%オフ
 クーポンでおみやげプレゼント(20ドル以上ご購入の場合)
 クーポンお持ちの場合お一人様無料


 こんな特典を使わない手はない。ハワイ初日の夜は長い。これからの1週間を有効にすごすべく、ひたすらフリーガイドを読みあさる。


 日本語のよりも英語のフリーガイドの方が特典が高い──そんなことをどこかで読んだ記憶がある。
 影響されやすい“ひげ”は英語版を開き、使えない英語力を駆使して必死にクーポンをさがしていく。なにかないか...。

 あった!
 オアフ島西部にできたハワイアン・ウォーター・アドベンチャーパークの入場クーポンだ。“大人が5ドル引きで子どもは半額、6人まで”とある。大人の入場料が29.99ドルだから、ほぼ2割引の計算になる。
 たしか日本語版では「クーポンご持参の方にシェイブアイスプレゼント」となっていたはず。2割引vsシェイブアイス、どうみても英語版のほうが得だ。チェックしておこう。

──けっきょく今回はウォーターパークまで足をのばさなかった。

 それから、カハラモールの広告に目がとまった。B5サイズのガイドブックのグラビア1ページを使った大々的な宣伝だ。

 クーポンで15%オフ!

 これはすごい。カハラモールには“ひげファミリー”御用達のショップ──GAPとバナナリパブリックのことだけど──が入っている。買出しツアー決定!


 カハラモールのGAP。アラモアナSCの店ほど広くはないが、観光客用ではない品揃えがうれしい。
 あれこれ見つくろった品物を手に、2階のレジにならんだ。

「こんにちは」
「こんにちは」
「これをください。このクーポンが使えますか?」


 “15%オフのクーポンですね”という答えを期待していたが、ようすがおかしい。若い店員さん、提示されたクーポンに目をとおし、やがてこんなことをおっしゃった。

「申しわけありません。クーポンが使えるのはこのお店だけなんです」

 指さされたところを読むと、“セール協賛店”として10店ほどの名が書いてある。そして、そのリストには、GAPの名もバナナリパブリックの名もなぜか見あたらなかった。


 こうなったら15%オフの協賛店でクーポンを使うまで帰るわけにはいかない。
 意地になり使える店がないかさがしたところ、フードコートのグルメエクスプレスというファーストフード店に目がいった。
 ちょうど昼どき。食事にしよう。
 15%オフクーポン作戦、大成功と思いきや、プレートランチは口に出せないほどの味だった。

 クーポン作戦3連敗の記、お粗末さまでした。


 今日10月7日は“おふぃす ひげうさぎ”開設&『web たまてばこ』創刊2周年記念の日。

 日ごろのご愛顧に感謝して。


web『たまてばこ』 No.334 2002-10-07-Mon


イースター休業

オアフの風2002〜8

 ガイドブックにはショッピングセンターは「年中無休」と紹介されている。ところが、カハラモールの入り口にあった掲示板には“3月31日(日)はイースターで休業”とたしかに書いてあった。
 年中無休のはずが、イースターで休業? それなら、この日に行く予定にしているアラモアナSCはどうだろう。まさかあの巨大ショッピングセンターがまるごと休業することはあるまい。

 とは思ったが、念のためにインターネットで調べてみた。
 するとここも大部分の店舗がイースターでお休みとのこと。書き入れ時の日曜日でさえイースターを祝って休業するとは、さすが“キリスト教国”アメリカだ。


 イースター。キリストの十字架からの復活を祝う、キリスト教の3大祝祭のひとつである。
 春分の日のあとに訪れる最初の満月の次の日曜日、と決められている。3月の下旬から4月の中旬のあいだで、月の暦によって毎年その日が変動する。12月25日と決まっているクリスマスとはその点で異なっている。
 2002年は3月31日がイースターだった。6回目のハワイにして、今回初めて滞在中にイースターサンデーが重なったことになる。

 ちなみに、3大祝祭のもうひとつはペンテコステ(聖霊降臨祭)で、イースターから50日目の日曜日とされている。


 さて困った。カハラモールやアラモアナSCが休業するくらいだから、ほかのショッピングセンターも右にならうに違いない。

 どこに行こうか迷っていると、ヴィクトリア・ワード・センターズは開いているという情報をインターネットで仕入れることができた。ムーミンショップがあるワード・センターには前の日に行ったばかりだが、ワード・ウェアハウスはまだ歩いていない。
 これで行動計画が決定した。


 明けて、イースターサンデー。午前中はプールですごし、午後からいざワードへ。

 アラワイ運河を渡り、アラモアナ通りを西へ走る。“休業”のアラモアナSCを右手に見ながら1ブロック(と言っても0.5マイル=800メートルほどもある)進むと、ビクトリア・ワード・センターズである。

 14年前の初ハワイのときに訪れたことがある。そのころのワード・ウェアハウスは文字どおり“warehouse=倉庫”のような建物で、これといった有名ブランドも入っていなかった。
 ラルフローレンでやたらに裄の長いGジャンを買い(いまだに現役で着用中)、ヤムヤムツリーで大きなチョコレートパイを“ひめ”と食べた記憶がある。ハネムーンの甘い思い出...。

 その当時のワードの面影(?)は、いまはない。

 ショッピング、ダイニング、そしてエンターテインメント。すべてが揃った「ビクトリア・ワード・センターズ」はロコも注目する、今もっともホットなエリアです。ひとくちに「ワード」と呼ばれることも多いようですが、一つのショッピングモールを指すのではなく、幾つかのモールや大型店鋪が集まった一大ショッピング・エリアの総称をこう呼びます。

「ハワイの歩き方」 より



 アラモアナ通りからはワード・センターとワード・ウェアハウスしか見えないが、山側に入るとワード・ヴィレッジ・ショップス、ワード・エンターテインメント・センター、ワード・ゲートウェイ・センター...と巨大なショッピングモール群が出現する。無料駐車スペースが3000台以上というから、規模の大きさが想像できるだろう(できないか)。

 ワード・ウェアハウスの駐車場に乗り入れた。どこにでも停められる。さすが3000台。
 いや、3000台のせいではない。車の数が少ないから停めやすいのだ。
 お目当てのひとつ「アニメーション・マジック」というキャラクターショップの近く(と思われるところ)に駐車し、車を降りた。車も少なければ、人も少ない。

 ようすが変だ。日曜日の昼下がり、雲ひとつない青空のもとの一大ショッピングエリア。車も人も数えるほどしか見えない。オープンしているショッピングモールの雰囲気ではない。西部劇のゴーストタウンにいるような気さえしてくる。

 1階を歩いてみると、予感的中。ソフトドリンクのスタンドこそ営業していたが、9割方の店が閉まっているではないか。
 扉にななめにかかった手書きの張り紙には、案の定のひとことがしるされていた。

 CLOSED FOR EASTER!

 休業にもめげずキャーキャーさわぎながらトロリーバスに乗りこんだ日本人ギャルグループの姿が浮いていた...あ、あれは「ウメかサクラか」(⇒ No.328 参照)のコギャル3人組!


 しかたがない。かろうじて店を開けていたマルカイ99¢ショップをひやかしてから、コンドミニアムに帰ることにした。

 アラワイ運河を渡り、カラカウア通りに入る。車も人もだんだん増えてくる。ワイキキのメインストリートはいつもと同じにぎわいを見せていた。リゾート&ショッピングの中心地には“キリスト教”の力も及ばないようだ。

 部屋に戻ってつけたテレビニュースには、こんな見出しがおどっていた。

 MIDDLE EAST WAR! DARK Easter

web『たまてばこ』 No.335 2002-10-12-Sat


駐車場事情

オアフの風2002〜9

 オアフ島の大きなショッピングセンターにレンタカーで乗りつけたとしても、駐車場に困ることはまずない。

 この場合「困らない」というのには二つの意味がある。満車で入庫待ちなどということがない、「3000円で2時間」などの制限がない、の二つである。つまり「いつでもとめられ何時間でも無料」というわけである。
 前項の3000台のワードしかり、9000台(!)のアラモアナ・センターしかり。もちろんカハラモール、ワイケレ・プレミアム・アウトレット、パールリッジ・センターもだいじょうぶ。日本人のあまりいないノースショア・マーケット・プレイスなどでも駐車できなかったことは一度もないし、駐車料金を支払ったこともない。
(ただし、ワイキキ中心部は例外...後述)

 これはショッピングセンターにかぎらない。“ひげファミリー”が行くようなメジャーなスーパー─たとえばダイエー─なら、およそ駐車場で不便をかこつことはありえない。いつでもとめられ何時間でも無料...クルマ社会のクルマ社会たる所以である。


 アラモアナ・センターの3ブロック北側にロス(Ross Dress For Less)という衣料品のディスカウントショップがある。

 駐車場に入ろうとすると、入口に係員がいてバーがおりている。発券機から磁気カード式の駐車券を抜きとるとバーがあがり、中に入ることができる。オアフ島レンタカー歴2回目(2年目)にして、このタイプの駐車場に出あったのはこれがようやく2回目だ(もう1回はドールキャナリー)。
 ここはロコ御用達の店で車はつぎつぎに入ってくるが、それだけのキャパシティもある。とめるところはすぐに見つかった。

 駐車券があるということは、日本のスーパーやデパートと同様、なにがしかの買い物をすると駐車料金が割引きになるのだろう。このサービスをバリデーション(validation)という。
 さて、この店ではいくら買うとどれだけの駐車時間がサービスされるのか。入口に掲示されていたようだが、英語が読みとれなかった。

 日本にいるときには、こういうときについついせこく考えてしまう。いつも利用するディスカウントショップなど、3000円の買い物で1時間、6000円買っても2時間しかサービスにならない。レシートと時計と駐車券を見くらべながら早足で買い物をするくせがついてしまうほどだ。

 ところが、ハワイにいるとなぜか気持ちが大きくなり、太っ腹になる。
(食事もしすぎてじっさいに腹も太くなる...関係ないか)
 料金規定は読みとれなかったけれど、買うものがなかったとしても1時間くらいならたいした駐車料金にはならないだろう。軽い気持ちで店内に入ることにした。

 小1時間あるきまわり、洋服と日用雑貨の山の中から運よく掘り出しものが見つかった。レジにならび会計をする“ひめ”に駐車券を渡し、バリデーションのことをたずねてもらう。

「あそこのスタンプを自分で押してください」

 答えはあっけないものだった。レジの横のテーブルにスタンプとスタンプ台が置いてあり、買い物を終えた客が自分で駐車券にスタンプを押している。店員もいない。

 レシートを見ながらあと3ドルで2時間サービスになるなどと計算する必要はまったくない。会計がいくらであっても買い物をすればスタンプが押せる。いや、買い物をしなくても(度胸があれば)駐車券にスタンプを押すことなどかんたんにできてしまう。
 出口で係員に駐車券を渡し、ニコッとして“Thank you!”これでこと足りてしまった。おおらかなものだ。


 これがワイキキ中心部になると話が変わってくる。たとえばロイヤルハワイアンSCには収容台数600台の駐車場があるが、とめるには1時間6ドルも払わなければならない。日本円に換算すると700円から800円、暴利だ!

 もっとも、ロイヤルハワイアンSCにわざわざ車で乗りつけるようなハイソ(死語かな)には、1時間6ドルだろうが10ドルだろうが関係ないのかもしれない。ワイキキに滞在しているふつうの観光客なら歩いていくところだろう。
(バリデーションのことは不明)

 ところが、耳寄りな情報が手に入った。ワイキキのどまんなかに鎮座するDFSギャラリアは駐車無料だという。それならためしにと、遠出した帰りに車で寄ってみることにした。

 カラカウア通りの左車線からプラダとヴィトンのあいだを左折して(なんとわかりやすい目印!)、ルワーズ通りに入る。右がDFSギャラリアの裏手、左にジョイホテル。ちょうどそのはすむかいあたりのビルに駐車場入口を見つけ、進入した。

 急な坂道をのぼりきったところにゲートがあり、係員が座っている。

「DFSの駐車場ですね」
「いいや、ここはちがうんだ」
「じゃあバリデーションはないんですか」
「ないよ」


 「それならけっこうです」と言って引き返す図々しさも英語力も“ひげ”はあいにく持ちあわせていなかった。しかたなくそのまま車をとめ、30分ほどDFSの店内をうろついただけで早々に退散した。
 高い駐車料金(5ドルくらいだったか)もしっかり払ったことは言うまでもない。

 教訓...ワイキキ中心部は“歩き”にかぎる!


 翌日、リベンジに挑戦した。相手はもちろんDFSギャラリアの無料駐車場。
 ルワーズ通りをあらためて注意しながら走ると、前の日に進入して失敗した駐車場入口の次の進入路がDFSの無料駐車場だった。なぁんだ。
 リベンジ大成功。

 しかし、ほんとにう無料なのか心配だったのでカウンターでたずねると、ほんとうに無料、バリデーションも不要とのこと。パスポートやエアチケットの提示も求められず、拍子抜けするほどかんたんに車をとめることができてしまった。

 ワイキキのどまんなかに駐車場の穴場発見!
 ここにただでとめてあちこち遊びまわって...も、だいじょうぶかどうかは保証のかぎりではない。

web『たまてばこ』 No.336 2002-10-16-Wed


インターネット事情

オアフの風2002〜10

 愛用のモバイルノートPCを背負っての“里帰り”(=ハワイ旅行)である。PCとインターネットのことが少しわかれば、滞在しているワイキキの部屋から自分のマシンでインターネットに接続することができる。
 その方法をマニュアル風に。

【必要な器具】
1.変圧器
 ハワイの電源プラグの形状は日本と同じだが、電圧が異なる。PCなど精密機器を使うなら、念のため変圧器を用意したい。
 “ひげ”が持参したのは「豊澄」というメーカーのもの。旅券事務所のとなりの海外旅行用品をあつかう店で3000円ほどで手に入れた。

2.延長コード
 コンセントに変圧器を差し、延長コードをつなぐ。PC、シェーバー、デジカメ用電池の充電器...3メートルで3口あればじゅうぶんだろう。

3.モジュラーケーブル
 部屋の電話につながっているケーブルが短いかもしれないので、予備を持っていくとよい。5〜10メートル程度。
 1口のモジュラージャックを2口に変換するプラグもあると便利。

4.ノートPC
 “ひげ”が使っているのは2000年夏モデルのB5サイズモバイルノート。FDドライブ、CD−ROMドライブともに外付けなので、そのぶん本体が軽く1.5キロほど。背負ってしまえば重くは感じない。
 モデム内蔵は必須、無線機能はとくに必要ない。いまどきのマシンならどれでもだいじょうぶだろう。

【セットアップ〜日本で】
1.プロバイダ
 ホノルル市にアクセスポイントのあるプロバイダと契約する。現在のプロバイダに海外のアクセスポイントがなければ、別に契約するか、乗りかえるか、あきらめるか...。
 “ひげ”は自宅ではCATVネットを利用しているので、ハワイ旅行のためにA◎Lにアカウントを一つ確保している。最も安い月額270円+税という料金コースは1時間まで無料。それを超えると1分あたり5円が課金される。
 昨年は、入会して1か月間または100時間の無料サービス期間中だったので、接続料金はかからなかった。通話料については後述。

2.接続設定
 インターネットのセットアップは接続用ソフトのウィザードにしたがって進めていけばよい。アクセスポイントをホノルル市にすること、接続の確認をするために国際電話をかけてみることなど、「オアフの風〜旅行記2001」(→ こちら へ)に詳しい。

【接続〜ワイキキから】
1.モジュラーケーブル
 宿泊する部屋の付属設備一覧には、電話のモジュラージャックのことを「データポート」と書いてあることもある。このデータポートと電話をつないでいるモジュラーケーブルをはずし、ノートPCのモジュラージャックに差し込む。PCを使いたい場所までケーブルが届かなければ、持参のケーブルにとりかえる。
 モジュラージャックの1口→2口変換プラグがあれば、電話とPCそれぞれにケーブルをつなぐようにする。変圧器、延長コードの接続もお忘れなく。

2.ゼロ発信
 ホテルの部屋から外線電話をかけるとき、日本では最初に「0」をまわす(押す?)ことが多い。“ひげ”が宿泊したワイキキのコンドミニアムではこれが「9」だった。したがって、セットアップで選択したアクセスポイントの電話番号の最初に「9」をつけなければつながらない。これがわからなくてインターネットにつながらなかった、という初歩的なミスが多いらしい。
 番号が「0」か「9」か、はたまた別の数字かは、各部屋にある利用説明書で確認できる。

3.料金
 「オアフ島内の公衆電話は1通話35セント」だ。1分でも3分でもなく“1通話”である。つまり、1回かけたら1秒でも1分でも1時間でも1日(!)でも受話器をおくまで35セント、という料金規定になっている。
 部屋からの外線通話も基本的には同じ。いったん接続したら、つなぎっぱなしのほうがお得である。
(その場合は当然のことながらフロントからの内線電話などいっさい通じなくなる。通じても話せないけれど)
 ただし、公衆電話なら1通話35セントだが、ホテルやコンドミニアムは通話料にマージンを上乗せすることが多い(外線通話はサービス、などという高級アコモには泊まったことがない...)。昨年のコンドは1通話99セント、今年のコンドは75セントだった。

4.回線速度
 アナログ回線のわりには表示速度にストレスを感じない。写真をアップロードするなど多量のデータをやりとりするのでなければ、実用上まったく問題はない。
 はじめに設定したアクセスポイントが混んでいてつながらないこともあったが、A◎Lでいえばホノルル市内に3か所のポイントがあるので、設定を変更すればすぐにつながる。
 回線状態が不安定で接続が途中で切れてしまった、ということも滞在中にはなかった。


 ホノルル国際空港チャイナエアラインのチェックインカウンター。スーツケースをあずけ、手荷物検査にすすんだ。
 金属探知機にひっかかりそうな財布やキーホルダー、それにリュックをトレーにのせ、ゲートをくぐる。キンコン、という音はせず、ほっと安心してトレーを受けとろうとしたが、なぜか返してくれない。係員が何人か、ごちゃごちゃ相談している。え、なにか“危険物”があるの?

「*▲◎∞※♯」

 むっつりした女性係員が鋭い目でこっちを見ながら声をかけてきた。が、英語がなまっているのでまったく聞きとれない。何度か聞き返して、ようやく“Laptop?”と言っているのがわかった。ノートPCのことだ。

「ラップトップか?」
「はい」
「あなたのか?」
「そうです」
「出して。もう1回調べます」


 およそ愛想がないきつい言い方にびびりながら、リュックからノートPCを取り出して渡した。もういちどX線検査機をとおすらしい。
 メタルフレームだからおそらく黒く四角いシルエットが写るのだろう。ナイフや爆弾がしかけてあったらわかるのだろうか。あるいは、あやしいデータが入っているとでも思われたのだろうか。

 没収されたらどうしようとまで考えたが、心配は杞憂ですみ、そのままかえしてくれた。
 「9.11」からまだ半年。ニューヨークからこんなに離れた空港から搭乗する一人の日本人が所有するラップトップPCまで入念にチェックする。同時多発テロの再発に神経をとがらす“アメリカ”という国を肌で感じてしまった。

web『たまてばこ』 No.337 2002-10-20-Sun


ゴミ事情

オアフの風2002〜11

 日曜日の新聞(“The Honolulu Advertiser”)は分厚い。13部、170ページもあるのだから、なみの厚さではない。平日版50セントにたいして日曜版は1ドル75セントもする。
(平日版でも6部、38ページある...総合、ビジネス、くらし、スポーツなどの分野ごとに綴じてあり、必要なところだけ抜きだして読めるようになっている)

 分厚い紙面の大半は広告である...う〜ん、厳密に数えたわけではないが、そんな印象をうけるほど広告が多い。
 地元の人は日曜日の朝、この広告をたんねんに読み、お買い得品をさがし、クーポンを切りとる(らしい)。ロコ気分にひたってみたくてまねしようとしたが、やめた。いまのところオアフ島では家も車も家電製品も必要ないし、日用品を買出しに行くほど旅行の日程も残っていない。なによりも、英語ばかりというのがつらい。

 それでも見るともなしに見ていると、350mlのコカコーラ12缶で2.99ドルという特売品を見つけた。数日前にダイエーで12缶3.09ドルの表示を目にして、「1缶たったの35円!」と驚いたばかりである。そのうえをいく安さだ。だからロコは広告を見るのだろう。


 読み終わった分厚い新聞をゴミ箱に捨てようとして、ふと考えた。新聞はこのあとどうなるのだろう。

 そういえば、コーラの空き缶もポイ、発泡トレイもポイ、牛乳パックもポイ、ティシュの空箱もポイ、着古したTシャツもポイ、不要になったフリーガイドもポイ ─ “ひげ”の居住地域ではすべて分別(およそ15種類!)している“資源ゴミ”を、ここハワイではすべてまとめてひとつのゴミ箱に捨てている。
 ホテルやコンドミニアムだからという特殊事情の故か、それとも一般家庭でも分別せずにまとめてポイなのだろうか。

(唯一、生ゴミだけは強力なディスポーザーでガガガグググゴゴゴーと粉砕し、水といっしょに流してしまう。このぶんだと、「生ゴミをリサイクルして肥料に」などと言ってもおそらく通じないだろう)


 早朝のワイキキを散歩していると、ホテルの裏手にところどころ、大きなコンテナが置いてあるのが目に入る。5トントラックの荷台ほどの大きさ。中身は“ゴミ”のようだ。ホテルから出た廃棄物が(おそらくほとんど分別されずに)そのまま放りこんである。

 やがて空のコンテナを積んだトラックと大きなフォークリフトがあらわれる。ゴミのたまったコンテナと空のコンテナを交換し、ゴミコンテナを載せたトラックはまたどこへともなく走り去っていく。
 やはり、まとめてポイのようだ。

 分別されていない大量のゴミはどこでどのように処理されるのだろうか。ディスポーザーの使用で下水管がつまったりしないのだろうか。焼却施設、埋め立て処分場、下水処理場はどこでどのように管理されているのだろうか。廃棄物処理にともなう環境問題は...ついつい社会科教師の目になってしまう。

 大量消費社会アメリカは、すなわち大量廃棄社会なのだということを実感した散歩だった。

web『たまてばこ』 No.338 2002-10-27-Sun


おでんとゲスト

オアフの風2002〜12

 午後6時。約束の時間ちょうどに部屋のベルが鳴った。
 もしかすると時間になるまでドアの外で待っていたのかもしれない。そう思わせるほど律義な青年が今宵のゲスト、宇井英一さんである。

 身長174センチ。昨年お会いしたときにはがっしりとした≠ニいう形容詞がふさわしかったが、今年は“すらりとした”感じがする。こだわりのウーロン茶を飲みつづけて10キロ以上ダイエットしたとうかがっていたとおりだ(1日に2リットルも飲むそうな)。


 宇井英一さん。マウイに7年、オアフに4年。趣味のウィンドサーフィンをきっかけに、ハワイに魅せられ、ハワイに住みついてしまった日本人である。

 1996年にハワイ州の旅行業免許を取得して UI TRAVEL という旅行会社を設立。現在その社長、兼会計、兼営業、兼WEB MASTER、兼...お一人で何役もこなしていらっしゃる。
 
 UI TRAVEL の最大のセールスポイントが「ホテル&コンドミニアム50%OFFカード」のあっせん。このカードを利用して予約すると、ハワイにあるたいていのホテル&コンドミニアムに半額で泊まれてしまう。

 たとえば“ひげファミリー”が宿泊したバニアン(アストン・アット・ザ・ワイキキ・バニアン)では、1ベッドルームMV(マウンテンビュー)タイプの部屋が通常なら1泊1部屋215ドルのところ、半額の108ドルというウソのようなほんとうの話が実現する。単純に計算して、同じ予算で2倍の日数滞在できることになる(別に州税がかかる...念のため)。
 このカード、いつでもどこでもかならず有効というわけにはいかないが、早めに手配すれば希望のプランが実現する可能性が高い。

 ほかにも、わずかな手数料でホテルの予約代行を引きうけてくださったり、現地のオススメ情報がリアルタイムで手に入ったり、緊急時の連絡先として心強い味方となってくださったり...大手にはできないきめの細かい配慮をたくさんしてくださるので、“ひげファミリー”のようなハワイ個人旅行初心者にとってたいへんありがたい旅行社である。

 宇井さんにコンドミニアムの手配をお願いするのは今回で2回目。お世話になったお礼に滞在中にぜひ夕食をごいっしょにとお誘いし、今年はバニアンの自室までご足労いただいたという次第である。

 “ひげ”と誕生日が1日ちがい(年齢は6つちがい)のさわやかな好青年も、そろそろ髪に白いものがまじりはじめている。

UI TRAVEL は こちら から



 おもてなしにと前夜から煮込んだ“ひめ”ご自慢のおでんをつつきながら、四方山話に花が咲く。

 宇井さんのフォーク(ごめんなさい、箸がなかった)は休むことなくおでんをさし、口に運んでいる。しばらく日本の味から離れているはず、ステーキよりもおでんでしょうという“ひめ”の読みは大あたりだった。
 おいしいおいしいと言いながら召しあがってくださり、ホストファミリーとしてもうれしいことこのうえない。

 “ひげ&ひめ”の夢は老後のハワイ暮らし。まだまだ遠い話だけれど、不動産のこと、仕事のこと、生活のことなど、永住権取得の“大先輩”宇井さんにたくさん教えていただくことができた。これもおでん効果、かな。

 で、結論。いま考えられる最善の策は、わが娘または息子をハワイに留学させること。どちらかがハワイに住んでくれれば、その両親たる“ひげ&ひめ”もかんたんに移住できる(はず)。
 以来、KANA(小4)もTAKU(小2)もことあるごとに甘い誘惑にさらされることになる。

「ねえ、ハワイの高校に留学してみない?」


「ではそろそろ出かけましょうか。ナビ、よろしくお願いします」
「じつは行ったことがないもので、友だちに道を聞いてきたんです」

 そう言いながら、宇井さんは小さくおりたたんだメモをポケットから取りだした。おでんでつったわけではないけれど、夜のドライブの道案内をお願いしてあったのだ。

 行き先は夜景の名所タンタラスの丘。パッケージツアーのオプションに「リムジンで送迎 ディナー&夜景ツアー」などとよく紹介されるところである。
 新婚旅行のときにそのオプションで行って以来いつかまたあの夜景を見たいと思いつつ、まだ果たせていない。

 名所ではあるけれど、夜はなにがあるかわからないので地理に不案内な旅行者だけでは行かないほうがよい。そう聞いていたので、レンタカーデビューの昨年は断念し、今年は無理を言って宇井さんに同行をお願いしたわけである。
 でも、行ったことがないとは...。

 気をとりなおし、今回の愛車、フォードのグランプリに乗りこんでバニアンを出発。
 アラワイ通りを右折してマッカリー通りへ。H1をまたぐ橋を越えたところで左折、三つ目の信号を右折してマキキ通り、一つ目の信号を左折してネホア通り。どこかで右折するとタンタラスの丘にのぼる道になる、はず。
 宇井ナビはいたって順調である。

 ちょうど前を走っていたのが黒いストレッチリムジンだった。この時間にこんな場所を走るストリムは「ディナー&夜景ツアー」に違いない。この車についていこう。宇井ナビからリムナビにあっさり乗りかえることにする。
 右折したストリムのあとを追い、さらにもう一度右折して山道に入る。ちらっと目に入った案内表示には「タンタラスの丘」とある。乗りかえて正解!

 箱根旧街道を思わせる九十九折の道がつづく。ただし、街路灯がひとつもない。もし車のライトを落とせば、文字どおり漆黒の闇がおとずれる。
 前を行くストリムは慣れているのだろう、すいすいと進んでいく。見失ってはならじとグランプリも追走する。

「日本人の学生がこのあたりで事故死したらしいですよ」
「え?」
「深夜のドライブで転落したって、インターネットのニュースで読みました」

 宇井さーん、縁起でもないことを。そんなニュースあったかなぁ。日本では話題になっていなかったけれど。
(これが冗談なのか実話なのか、いまもってわからない...)

 とつぜん山道が開けた。路側帯に先客が5台ほど停車している。前のストリムもとまり、客が降りてくる。徐行しながら見ると、道の右側に夜景がひろがっている。

 視界の左手、カクテル光線で照らされているのがハワイ大学の野球場だろう。その右奥の暗くなった一帯がアラワイゴルフコース、あいだを左右に横切る光の帯がH1にちがいない。そして正面がワイキキのホテル群。ハイアット・リージェンシーのツインタワーが確認できる。
 たしかにタンタラスの丘だ。14年ぶりに見る100万ドルの夜景である。

 ありがとう。宇井さん、そしてストリムさん。


 宇井さんをご自宅までお送りし、バニアンに戻る。

 残ったおでんをおなかにしまうと、鍋はからっぽ。冷蔵庫もほとんどからになった。滞在はあと1日。帰国が近づいた。

web『たまてばこ』 No.339 2002-11-04-Mon


ふたたび日常へ

オアフの風2002〜13

 遠くのほうで電話が鳴っている。ベルの音がだんだんと近づいてきた。意識がもどる。ウェイクアップコールだ。
 受話器をとり、時刻を確認すると5時30分。設定したとおりに鳴ったのでひと安心。コンドミニアムのベッドで迎える6回の朝の中で最も緊張するときである。
 この日にかぎっては、寝坊も遅刻もけっして許されない。もし帰りの飛行機に乗りそこなったら、家族4人、異国の空の下で路頭に迷うことになる...大げさかな。

 じつは、前夜、帰国準備がすべてととのったあと、最後のメールチェックをしようとたちあげたPCがダウンしてしまったのだ。出発前から不調だったハードディスクがまたストライキを起こし、復旧したのは深夜2時をまわったころだった。

 これから寝ると睡眠は3時間。起きることができなかったら...ウェイクアップコールのほかに、枕もとに備えつけのデジタル時計をセットした。子どもが持ってきたポケットピカチュウの目覚ましも鳴るようにしてある。これだけ念を入れれば、家族のだれかは起きるだろう。

 4人とも目が覚めた。(^。^;)ホッ。


 帰国便は9時40分ホノルル出発予定。2時間半前までにチェックインせよとリコンファームのときに言われている。テロの影響で空港のチェックがかなり厳しくなっているらしい。手荷物検査とボディチェックに行列ができ、時間がかかるという噂も聞いている。朝の早いホノルル市街の渋滞も心配だ。したくをして、すぐに部屋を出ることにする。

 6時10分。バニアンのフロントでチェックアウトの手続きをすませ、空港へむかう。
 カパフル通りを北に走り、H1の高架をくぐったところで左折、H1−WESTに合流する。片側4車線、場所によっては5車線にもなるフリーウェイなので、どの車線を走行するか神経をつかう。

 交通量は多いが、目立った渋滞はない。予習したとおり、「19B」で右側2車線のポジションをとり、「16」でいちばん右の車線へ。メインストリートとわかれ、立体交差を道なりに左カーブしながらしばらく進むと、なつかしい景色が見えてくる。まもなく空港だ。
 空港ターミナルへの接続道路を RENTACAR RETURNS という赤い標識にしたがって走れば、レンタカー返却所にたどりつくことができる。はずなのに、昨年は失敗してしまった。いちばん最初にあるハーツの進入路を見落としてしまったのだ。
 もちろん昨年の轍は二度と踏まない。


 ノートパソコンのチェックが厳しかった以外は予想したほどの混雑も混乱もなく、チャイナエアラインのチェックイン完了。31番ゲートにむかい、搭乗開始を待つ。待合所には往路CI−18便でいっしょだった顔もちらほらと見かける。

 あの人たちも6泊8日の日程なんだな、などと思っているうちに睡魔がおそってきた。睡眠不足のうえに、レンタカーの緊張から解放されたせいだろう。

「搭乗のご案内をいたします。最初にファースト、ビジネスクラスのお客様、3歳以下のお子さまをお連れのお客さま、カウンターにおすすみください」

 意識のむこうでアナウンスが聞こえる。エコノミークラスはあとまわしだ。列がすいてから乗っても席に変わりはない。もう少しここで寝て...。

「小さなお子さまをお連れのお客さま、先にどうぞ」

 若い係員が声をかけてきた。“小さなお子さま”なんてうちには関係ない。
 寝ぼけた頭で考えていて気がついた。そうか、TAKUのことか! 新年度から2年生になるのに、いまだに「ぼく、いくつ?」と聞かれることがあるほど小柄なTAKU。とうとう3歳以下に見られてしまったか。

 そのTAKUのおかげで、搭乗の順番だけファーストクラスを味わうことができた。人生なにが幸いするかわからない。


 中華航空17便、ホノルル発羽田経由台北行き。B−747の400型ジャンボは、満員の乗客を乗せて予定どおりホノルル国際空港を離陸した。

 しばらくして、フライトアテンダントのアナウンスが入る。

「当機の機内サービスについてご案内いたします。映画を2本上映いたします。1本目が『アリ』、2本目が『ハリー・ポッターと賢者の石』でございます」

 「ハリー・ポッター」と聞こえたとたんに、機内にウワーッと歓声があがった。
 “ひげファミリー”の座席は33列目のDからG。中央の4人ならんだ席で、スクリーンから6列目、映画を見るには絶好のポジションである。パッケージツアーのころにはもっと後ろのほうで、映画など見たくても見えなかったおぼえがある。これだから個人手配旅行はやめられない。


 日本時間12時30分、羽田空港にむけて下降開始。東京地方はくもり、気温17度。

 2回の食事、2本の映画、読書、睡眠...さほどストレスを感じることもなく8時間のフライトが終わろうとしている。

 あすからまた、次の“里帰り”のための1年間がはじまる。

web『たまてばこ』 No.340 2002-11-10-Sun