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ひとくち書評

一般むけの教育書をご紹介します



     





鵜呑み

ひとくち書評 03

 胎児によい影響を与えると話題になればおなかの赤ちゃんにBGMを聞かせ、抱きぐせがつくからいけないと聞けば泣き叫んでも抱いてやらず、右脳を発達させようという本を読めばフラッシュカードを見せ...これを“鵜呑み”という。
【鵜呑み】
物事を十分に理解、批判しないで、そのままとり入れてしまうこと。
(鵜が魚を丸呑みにするところからいう)
 子育てに悩む親(多くのばあい母親)が、わらにもすがる思いで本を読んだり講演を聞いたりする。その気持ちはわかる。が、読んだり聞いたりした“いい話”を、そっくりそのまま我が子と自分とにあてはめないでほしい。
 丸呑みはからだに悪い。よく咀嚼し、消化し、栄養になるものと不純物とをよりわけ、必要なものを吟味してしてから取りこんでいただきたい。
 
 以下にとりあげる5冊も、これまでに紹介した10冊も、同様である。

 なお、下記の5冊はクラスの保護者会(学級懇談会)で話のネタにした本である。担任の伝えたいメッセージにあう、つごうのよい部分だけをとりだして紹介した。つまりは我田引水である。

*書名をクリックすると詳細へ。



『公立小中高から東大に入る本』(和田秀樹/幻冬舎)

【本文から】
 私は、高校生を対象に大学受験用の通信教育を行っている。そのなかで、最終的に東大に合格するのは、計算力のある生徒である。

 たとえていえば、才能がなかったり、精神年齢が幼い小学6年生が麻布中学に合格するのは至難の業だが、才能はなくても、精神年齢は人並みの高校3年生が東大に合格するのは、それほどむずかしいことではない。すでに述べたように、計算力とある程度の記憶力さえあれば、なんとかなるのが大学受験である。

 もっとも重要なのは、中学では英語と数学だけはカリキュラムを先取りして徹底的に勉強するということである。中学の段階で将来の東大受験に必要になるのは英語と数学であることを、子どもにしっかり意識させるのである。
 英語と数学さえちゃんとやっておけば、東大だけでなく、国公立の医学部など、どんな難関でも突破できる。

【書いた人】
 受験指導のエキスパートとして著名。本業は精神科医、らしい。灘高から東大医学部という経歴が著者紹介にある。“ひげ”と同い年。ということは、1979年度入試から導入された共通一次試験ではライバルだった...。

【ひとこと】
 “和田式”という受験勉強法を読む。なあんだ、“ひげ”がやってた勉強法と同じじゃん。
 試験に合格する勉強法なら、“ひげ”にも心得(と実績)はある。でも、小学校の教師はそれだけではすまない。やる気を出させたり、人間関係をつくったり、身のまわりのことが自分でできるようにしたり。勉強を教えるだけなら、どれだけラクちんなことか。
 幼児教育より大切なことがある、おもいきり“過保護”に育てよ、という主張には同感。新指導要領=“ゆとり教育”批判の論客も、捨てたものではない。


『お母さんは勉強を教えないで』(見尾三保子/草思社)

【本文から】
 中1の1学期ぐらいまでは、計算や方程式には熟達しているので学校のテストでもよい点をとり、自分は数学が得意、頭がよいと思いこんでいることである。しかし、頭が「能率のよい電卓」になってしまっているから、先の数学へ進むほど、理解できなくなってくる。

 だから、ご両親は子どもに「勉強を教えよう」とは思わずに、先に述べた「反復」、つまり前の学年のことを忘れていないかのチェックと、字をていねいに書くことだけを、よく気をつけてあげてほしい。

 しつけの基本は、小学校低学年までにすべきで、ついてしまった悪い習慣を大きくなってから直そうとするから、小言の多い親、しつけにやかましい親となってしまう。学習にも順序があり、基本を学習すべき年齢があると先に述べたが、しつけも同じである。

【書いた人】
 ミオ塾という学習塾を自宅に開いて45年。教えた生徒は1000人を越し、現在、塾生の2割が卒業生の子どもたちという。その間、県立高校の講師も経験した著者は、“ひげ”の母親の世代。西隣の市が舞台となっており、身近に感じる。

【ひとこと】
 受験のための「やり方を覚える学習」の弊害を、そうなってしまった子どもたちの実例をあげながら解く。「能率のよい電卓」というたとえに共感多とする。
 1冊目の和田式受験勉強法とは(一見すると)対極にある内容。さて、あなたはどちらをとる?


『子どもよりも親が怖い』(諸富祥彦/青春出版社)

【本文から】
 「どんな教師のクラスが崩壊しやすいか」と聞かれると、私は「運が悪い先生のクラスです」と答えるようにしています。というのは、どんなに力がある教師のクラスでも、すぐに暴れ出すキレやすい子どもが3人も揃えば、もう一気にガーッと崩れてしまいます。

 そんな教師と上手くつきあうコツとして、保護者の方にお願いしたいのは、教師をいきなり見下したり、無視したり、攻撃したりするのではなく、「私も手伝いますから、何かできることはありませんか?」というスタンスで接してほしいということです。

 私がよくアドバイスするのは、「親を変えるのはあきらめましょう」「目の前の子どもで勝負!」ということです。
 親を変えなければ子どもも変わらないと思い込んでいると、無力感に打ちのめされるだけです。

【書いた人】
 「教師を支える会」代表として多くの教師の相談に乗る一方、スクールカウンセラーとして子どもや親の悩みにもアドバイスをおくり続けている、と著者紹介にある。臨床心理士、上級教育カウンセラー、千葉大学教育学部助教授という肩書をもつ、“ひげ”とほぼ同世代の研究者。

【ひとこと】
 「親が問題なんだよね」は職員室の常套句。うまいタイトルをつけたものだ。一目惚れして買ってしまった。
 保護者の世代の特徴をアイドルになぞらえ、「百恵世代・聖子世代・あゆみ世代」と分析したしたところがおもしろい。が、問題を「親」に押しつけるだけでなく、「教師の問題」も「制度の問題」も公平にとりあげている。
 それにしても、学級崩壊するのは「運が悪い教師」とは...。


『読み・書き・計算が子どもの脳を育てる』(川島隆太/子どもの未来社)

【本文から】
 結論を先に書きましょう。わたしがこの本で提唱するのは、「読み・書き・計算のすすめ」です。読み・書き・計算の基礎的な学習を十分に行なうことで、じつは「考える力もつく」との仮説をもっています。小学校低学年のうちは「寺子屋」教育を、高学年になってから「ゆとり」教育を、がわたしの持論です。

 この意味で、読み・書き・計算という基礎学習は、子どもたちのなかにスキルを身につけさせることと同時に、心=脳、とくに前頭前野を発達させることであり、ほんとうの意味での生きる力をつけることにストレートにつながっています。つまり、基礎的なスキルを身につけるつもりだったトレーニングが、生きていくうえで重要な思考力やコミュニケーション能力、創造力などを発達させることにもなるのです。

 しかし、もう一つ、道具を使う能力、つまり前頭前野=心を育てるために大切なことがあります。それは、あそびです。集団のあそびのなかでこそ、子どもたちの前頭前野は発達していきます。
 あそびをとおした集団とのコミュニケーションが、子どもたちの脳にはちばんいいのです。

【書いた人】
 ブレイン・イメージング研究では第一人者といわれる脳科学の研究者。現在は東北大学未来科学技術共同研究センター教授。これまた“ひげ”と同世代。

【ひとこと】
 活動中の脳のデータをもとに「〜すると脳が活性化する、鍛えられる」という研究がブームになっている。本書は「読み・書き・計算」が重要と主張する。なあんだ、“ひげ”がクラスでやってることじゃん。
 ただし、著者はこうことわる ──読み・書き・計算は全能ではない、「よくあそび、よく学べ」の順である、と。なあんだ、“ひげ”がクラスで言ってることじゃん。

 *ところで、「子どもの未来社」は2000年4月に倒産した「あゆみ出版」の後継会社の一つとのこと(もう一つは「子どもと教育社」)。あゆみ出版には若いころいろいろお世話になった。倒産してしまったのか。感慨もひとしお。


『ラジオの時間(とき)』(こんのひとみ/学研)

【本文から】
 子どもが話しかけてきたとき、読んでいる本を置いて「おいで」と膝に乗せられるかどうか。
「あとでね」「しつこいですよ」「もう寝なさい」ふと口をついてしまいます。
 子どもに耳を傾ける、できなければ、せめて傾けるふりをする忍耐こそが愛。

 えりちゃんがちいさいころ
 「ねえ ママ あのね」
 えりちゃんが呼んでも
 「あとで あとで」
 とママは電話に夢中でした

 けれど月日が流れると
 「ねえ えり あのね」
 ママが呼んでも
 「あとで あとで」
 とえりちゃんは携帯に夢中です


【書いた人】
 シンガーソングライターであり、二児の母。NHK「みんなのうた」で「パパとあなたの影ぼうし」(歌:太田裕美)が放送され、大きな反響をよぶ。全国各地の学校や施設で年間200回以上の“出前ライブ”をおこなっている。“ひめ”の高校の一年先輩にあたる。

【ひとこと】
 どんな教育法にもまさるのが親の愛。この1冊を読めば、他の教育書はすべてかすんでしまうにちがいない。巻末には小堺一機との対談も収録されている。エッセイ集『ちいさな声』(ポプラ社)もおすすめ。
 勤務校に“出前ライブ”に来ていただいたときの様子は こちら から。
 “こんのひとみ”公式HPは こちら から。

web『たまてばこ』 No.346 2003-01-11-Sat